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不登校・ひきこもり・ニートを考える

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巨椋修(おぐらおさむ)

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2006年08月17日
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カテゴリ:不登校
数日前の新聞記事に、以下のような報道がされておりました。


不登校:全国の小中学校で12万2255人 4年連続減少

 全国の小中学校で05年度に30日以上欠席した「不登校」の児童生徒は12万2255人で、4年連続減少したことが10日、文部科学省の学校基本調査速報で分かった。

 中学生は、不登校の割合が「36人に1人」程度の2.75%と4年ぶりに上昇に転じたが、小中学生全体では、「89人に1人」程度の1.13%と4年連続で低下した。

同省は「スクールカウンセラーによる指導や家庭への働きかけなど、学校や教育委員会の取り組みの成果の表れと考えられるが、中学生の割合はむしろ増えており、減少傾向とまでは言えない」と分析している。


 今年5月1日現在で全国の国公私立小中学校を対象に調査。不登校の児童生徒は前年度から1103人(0.9%)減り、不登校の割合も0.01ポイント低下した。

そのうち小学生は2万2709人で前年度から609人(2.6%)減少したが、割合は前年度と同じ0.32%。中学生は9万9546人で前年度から494人(0.5%)減り、97年度以来8年ぶりに10万人を割った。

しかし、割合は前年度から0.02ポイント上がった。


 不登校のきっかけは、病気による欠席など「本人の問題に起因」が36.9%、友人関係など「学校生活に起因」が35.7%、親子関係など「家庭生活に起因」が18.3%など。

不登校が続く理由は、登校の意思はあるのに身体の不調を訴えて登校できないなどの「情緒的混乱」が31.2%でトップ、次いで「無気力」の22.4%だった。

毎日新聞 2006年8月10日 18時54分




と、いう「不登校減少」を伝える記事でした。


以前にも書いたことがあるのですが、このように「不登校減少」の記事が発表されたり、報道されたりすると、必ず “激怒”する人たちがいるんですよ。(笑)


「そんなことはない!」


「授業を受けていない保健室登校や、適応指導教室の子どもがカウントされてないのはおかしい! 実態はもっとたくさんいるはずだ!」


「スクールカウンセラーなんて役に立たない!」


「この数字は、文部科学省のゴマカシだ!」


「学校のすること言うことは、まったく信用できない!」



などという人たちが必ずいる。

どのような人たちか?


それは



不登校児を対象とした


私立高校


フリースクール


フリースペース


不登校支援に生きがいを感じている“活動家”




の一部の人たちです。


さらに、国や行政のやることに、なんでも反対って人もいるなあ。



本来ならこういった人たちは、よほど学校や文科省が、非道なことをしていない限り、「不登校減少」を喜ぶはずなんですけどね。(笑)






さて、こういうとき、誰が得をして、誰が損をするかと考えるのが推理の基本。



まず、わたしは不登校減少について、誰が利益を得て、誰が不利益をこうむったかについて考えたてみました。




1、当事者と親は不利益をこうむったか?

まず一番に考えないといけないのは、「不登校」で苦しんでいる人悩んでいる人だと思います。


文科省の「不登校減少」発表によって、苦しんでいる・悩んでいる人つまり、不登校をしている当人、ついでその親は、不利益をこうむったかと考えますと、そうでもない。


「風邪が流行ってます、しかし、13万いた患者が12万に減りました」


って言われて患者自身はそれほど喜んだり怒ったりしないのと一緒。

苦しい人・悩んでいる人は、他人事じゃないんですから。



2、「保健室登校・適応指導教室・スクールカウンセラー」に、苦しんでいる当事者・親は不利益をこうむったか?

現在、保健室登校・適応指導教室に出席する児童生徒は、「不登校」としてカウントされておらず、登校者としてカウントされます。


これは、不登校に苦しむの児童生徒と、その親にとって、不利益ではなく逆に利益になっているのが現実と言えるでしょう。


なぜならば、そのおかげで不登校児童生徒は、出席日数が足りずに留年や卒業できないという人生のリスクから、大きくまぬがれるからです。


卒業ができれば、不登校者を対象とした高校に入学が可能になり、多くのチャンスに恵まれます。


また、保健室・適応指導教室には、国家試験をパスした教員がいることが多いのですが、本人にその気さえあれば、その教員から学ぶということもできます。

これは、中学生レベルになると、フリースペースにボランティアにきているおばさんでは、ちょっと教えるのは難しいかもしれない。


スクールカウンセラーに関しても、児童生徒、親にとって精神科や児童相談所よりも、学校の方が壁が低く、相談しやすい場であると思います。

(学校の先生同様、カウンセラーと称する人に「?」の人が多いのは事実らしいけどね(笑))


実際、不登校者のほとんどが、内心では「学校に行きたい」と思っており、親も「行って欲しい」と願っているのが実情であると言えるでしょう。


本当は、他の子どもと一緒に授業に出て欲しいと思っていますが、それが出来ない場合、


「せめて保健室や適応指導教室でもいいから……」


と、思っておられる人が多いようで、わたしのところにも


「やっと、我が子が保健室登校ができるようになりました」


「この前、担任とスクールカウンセラーの先生と3人でいろいろと話しをすることが
できました」


とメールしてくる親御さんが何人かいたのも事実です。




3、「不登校減少」報道は文部省にとって利益になるか?

発表した文部科学省に利益があるかというと、これはあくまで統計発表であり、自分たちの行為を、誇張したり正当化するためのものとは思えません。

今回の発表でも、

「中学生の割合はむしろ増えており、減少傾向とまでは言えない」

と、文科省自身が言っており、特に利益にも不利益にもなっていないと考えるのが普通でしょうね。





4、では、不登校減少で“不利益”をこうむる人たちがいるのか?

実はいます。

それは、不登校や少年問題を対象にビジネスをやっている人たち。



不登校児を対象とした


私立高校


フリースクール


フリースペース


さらにマスコミ


などなどの、一部の人たち。





こういった人たちは、不登校が問題化されればされるほど、無料の宣伝費となり、お金を出す親に無用の危機感をあおり、ビジネスは安泰となります。


フリースクール・フリースペースにとって、保健室登校や、スクールカウンセラーは、無償でやっているため、最大級の商売敵になります。


それらの多くは、NPO法人で非営利とはいえ、職員に給料を支払わねばならず、問題が減少していくことは、スポンサーや助成金の減少につながります。


倒産や解散するNPO団体も多い。


つまり、不登校問題で食べている人たちは、「不登校減少」という報道がなされると、職を失う恐れさえあります。


そういった団体にとって、不登校が問題になればなるほど安泰とも言えるのです。

これは、不登校児を対象とした私立高校も同様です。


マスコミにとって、少年問題は常にドル箱であり、少年が問題を起してくれればテレビ視聴率、新聞や出版の売上が伸びるのは事実。




よって、こういった人たちが、声を大にして



「文科省の発表は許せない!」


「学校のやることは、全部ダメ!」




と、言っていたとすれば、眉に唾をつけて聞いたほうがいいのは当然でしょう。





ちなみに、不登校に悩む親には、一定数の低所得者層がいて、そのような人たちは、我が子を料金の高い私立高校やフリースクールに通わせるというのは不可能に近く、民間のカウンセラ―に相談をするというのも、難しいのが現状です。




わたし個人としては、文科省や学校の制度は一度、大きく様変わりした方がいいと思っているひとりです。


しかし、わたしたちがいま一番考えないといけないのは、


いま悩んでいる人・苦しんでいる人を、どうすればいいのか?


だとおもうのです。


もちろん、文科省や学校にも、変化や改正がおおいに必要だと思います。


わたしが、「学校がやることは全部ダメ!」という文句を聞いたのは、ある有名なフリースクール代表の講演でした。


わたしには、「学校や文科省のやることは全部ダメだから、わたしのスクールに入りなさい」という宣伝文句にしか聞こえなかった。(笑)



ただね、本当に苦しんでいる人が最後の手段として


「オレが学校に行けないのは、全部学校が悪いんだ! 学校のせいだ!」

「オレがダメなのは、全部社会が悪いからだ!」


って、開き直るというのはアリだと思うんです。


ただ、これは危険な考えでもあって、


「オレが連続殺人を犯したのは、全部被害者や社会の責任だ!」


という極端な考えにもなりかねないんです。


だから、うまくバランスをとってですね。


学校でも社会でも行政でも、うまく利用して、しゃあしゃあと生き抜いて欲しいですね。







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Last updated  2006年08月17日 12時40分53秒
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