黒豆考。。
日本産の黒豆が100グラムあったので、甘く煮てみた。煮汁もなくなるくらいに煮詰めるのが大豆なら、黒豆はすぐに柔らかくなってしまった。それに、今度のレシピはまず柔らかく煮て、煮汁を捨ててから砂糖蜜をかけて再び中火で沸かしてから火を止めて一晩おく、というもの。どうしても煮汁がもったいないから、そのまま冷蔵庫にとっておいて雑炊に使った。黒豆の絞り豆風が好きなのだが、あれはいくらあっても全部一度に食べてしまう。最初に食べたのが、地震あとの神戸のビルの上の料亭での昼食だった。エレベーターを7階くらいだったか、上がるとつきあたりにレストランがあった。奈良に本店があると聞く。しかし空き席がないので、入り口で少し待たされた。別に気にもならなかったが、お姉さんがお茶とおつまみを運んでくれたのである。赤毛氈のひかれたベンチに座って、熱いお茶をすすって、おつまみを見つめた。小豆羊羹のような色であるが、不規則な粒で結構大きい。まさか鯨の肉ではないだろう。あんまり豆に縁の無い私はそれが黒豆であるなんて想像もつかなかった。しかも乾いた豆でほんのり甘い上品な味は初体験だった。実際に料理に何を食べたのかは覚えていないが、あの先に出された黒豆がよかった。帰り際にちりめんとか書いてあるので、奈良のちりめんかと、つまり布かと思い木箱に入ったちりめんを買った。実家に戻ってあけてびっくり、なんと雑魚の佃煮だった。縮緬雑魚だったのだ。日持ちするので、ベルギーに持って帰った。暖かいお茶漬けにその縮緬じゃこを散らすと、不思議にあの黒豆の皮の感覚がよみがえるのである。あぁ、黒豆よ。。。関東の人はあんまりご存知でないようであるが、是非お試しあれ。私の煮た黒豆も蜜をきってしょうがの絞り汁をかけると酒の肴になるそうな。寒い冬の夜に熱燗を前にちょろちょろとしょうがを絞り、黒豆をつまむ、囲炉裏の火がちょろちょろと揺れる私はどてらを着ている。こんにゃくと味噌があってもいいなぁ。。。