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たんぷく

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2005年07月11日
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カテゴリ:亡国のイージス

「裏切られたからって、裏切るつもりはない。他人に褒められようが捨てられようが、そんなのはただの結果だ。おれはそんなことのために働いているんじゃない。あんたたちと一緒にするな」(文庫本下巻111ページ)

「闘う理由は、他人から与えられたり押しつけられたりするものじゃない。自分で見つけて、自分でつかみとるなにか・・・。自分にしか触れられないなにかのため・・・甲斐を守るために、闘うんだ」(同112ページ)

「生き甲斐だ。生きていてよかったって思えるなにかだ。それがあるから、人は生きていけるんだって・・・そう教えてくれた人の言葉を俺は信じる」(同ページ)


この如月行の一連の言葉は、すごく深く考えさせられる。


「裏切られた」と思うと「恨みはらさでおくべきか!」となってしまうのが人情かも知れない。

私も「裏切られた、だまされた」と感じた時は、頭に血が上るし「3倍返し」とか考えてしまう。

しかし、それでは「裏切り」「恨み」の連鎖になるし、自分もそんなことに心や時間を浪費するのは良いことではないだろう。

仮に相手が悪意をもって意図的に裏切ったとしても、その相手を信じた自分の人を見る目のなさを棚に上げて、一方的に相手ばかりを非難するのはどうなのだろうなと考えることもある。

ただ、新興宗教や、「カリスマ」と呼ばれる人の詐欺などで、裏切られた(だまされた)人が、自分だけを責めて泣き寝入りして事件が隠れてしまうのは困るな。。。


「他人に褒められようが、捨てられようが、そんなのはただの結果」

自分が自分の信念に基づいて行動する時、他人の評価など本来無意味なものだ。

しかし、信念のない 「評価されるため」 が目的で行動することの方が、もしかするとこの社会を生きて行くには多いのかもしれないなぁと。。。

だれに評価されることを望むかだけは間違えないようにしたいもの。

すべてを自分の手柄にしてしまう上司にいくら評価されても、本当の評価なんてされるはずもないし、そんな上司の言うことを聞いていると、そのうちその上司の失敗の尻ぬぐいもさせられかねない。

やはり「良心・誠意」のある人物に評価されることを望むべきだろう。

どこだかの大統領夫人の発言に

「何をやっても批判はされる。それなら自分の良心に従って行動したい。」

という主旨の発言があったようだ。

私もそうありたいと願うし、みんながこんな考え方になってくれたら、もう少し住みやすい世の中になるような気がする。


また、政治家なら「党役員」に評価されることより「国民」に評価されることを望んで欲しいと願う。



「闘う理由は、他人から与えられたり押しつけられたりするものじゃない」

テロを行う人、特に自爆テロなんかをする人は、こんな思いなのだろうか?

何の罪もない人を巻き込む無差別テロを認めるものでは無いが、その心情、信条を少しでも察してあげることが、テロを防ぐことにつながりはしないか?

そういう意味では、兵士は本当に信念を持って闘っているのだろうか?

イラクを攻めたアメリカ、イギリス軍の兵士達は、大量破壊兵器も見つからず、どうやらでっち上げの情報で起こされた戦争に参加したこと、未だに「掃討作戦」という名の大量虐殺(異論はあろうが私はそう感じる)が行われることに対して、どう信念を持っているのだろう。。。
「兵士」という名の「兵器」になって、都合のいいように操られているだけなのではなかろうか?
帰国した後、まともな精神状態で元の生活に戻れているのだろうか?
兵士としての誇りを持っている人こそ、この戦争は受け入れられないものになっているのでは無いかと想像してしまう。



「・・・そう教えてくれた人の言葉を俺は信じる」

教えてくれたのは仙石先任伍長。

仙石は、家庭生活では妻に三行半を突きつけられるほどで、決して聖人君子ではないし、先任伍長としては優秀でも、人間としてどこか欠陥を抱えている。

ほとんどの人が、仙石のように、どこかが優れ、どこかに欠陥がある。
優れたばかりのところが目立つ人でも、欠点がない人はいないと思うし、長所も短所も受け取る相手の感じ方一つなので、誰にも同じような部分が長所に見えるとは限らず、短所が長所に見えることもある。

しかし、どんな人の発言であっても、それが「真理」に近ければ、そして、受け取る側が素直に受け止めることが出来れば、その言葉は活きる。

「~がいうことなんか・・・」と、言った人の人格だけで、発言を却下することが多いのはしょうがないことかもしれないが、誰が言ったを無視して、できるだけ素直に言葉を受け止めたいものだ。

また、ここで思うのは、仙石がいう「生き甲斐」みたいな考え方を如月行はずっと持っていたのだろうということ。
それを本能で持っていても、身近にそれを感じさせてくれる人がいなかったり、殺されてしまったり(祖父)したことで、自分の心の奥底に封印していただけで、そこに、自分の思っていたことをそのまま言い、行う人(仙石)がいることを知って、その封印を解いたのではなかろうか?

「・・・そう教えてくれた人の言葉を俺は信じる」

と言っているが、実は「自分を信じる」「自分の本質的に持っている考え方を信じる」「それを思い出させてくれた人を信じる」と言っているような気さえする。


みんな、いろいろなことに半信半疑で日々生活している。

「そうだろうな・・・」と思っていても、身近に同意してくれる人がいないと、ついつい自分が間違っているような錯覚を起こす。
もちろん、本当に間違っていることもあるだろうが、それが「良心」から出ているのであれば、そうそう間違っていることもないだろう。


身近な人の意見は人間関係を良好に続けるには大切だが、信念まで変えたり、合わせる必要はない。
信念は常に自分の内側にしっかりもって、機会がくればいつでも開けられる扉のすぐ手前に置いておくようにしたいものだ。



十分に書ききれてはいないが、こんなことを考えさせられた。





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最終更新日  2005年07月11日 22時32分28秒
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