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カテゴリ:読書
「男女7人夏物語(秋物語も)」「金曜日の妻達へ」「29歳のクリスマス」
…脚本家鎌田敏夫さんの執筆したシナリオを挙げたらきりがない。 私は自分の書こうとしている作品の香りとうか世界観は、日本の作家で目指すとしたら誰がいるだろうと真剣に考えた時、鎌田さんしか思い浮かばなかった。 バブル世代に青春を送った私としては、渡鬼のような嫁姑ものや、なんだかよくわからない普通の主人公でほんわかとした設定の貧乏臭い癒し系の話を書く作家にはどうも感情移入ができない。 いくら元CCガールズの青田が「バブル青田」と若者にいじられようとも、あのバブルの時代は唯一、映像化に値するゴージャスな時代だったと私は思っている。 最近鎌田さんがあまり作品を書かなくなったのは、もちろんお年のせいもあるかもしれないが、貧乏臭い設定のドラマしか書かせてもらえないのがつまらないからではないかと勝手に思っている。 恋愛ドラマに「自転車二人乗り」なんて行動範囲狭すぎるし、なんかバブルがはじけて貧乏になった日本の視聴者に媚びているようで嫌だ。 恋愛ドラマは、男が女を口説く時の、バイブルになるようなゴージャス感を出すべきだと私は思う。「自転車二人乗り」のシーンも夕暮れの土手を高校生が走ればそれなり絵になるかもしれないが、いい年をして自転車にしか女を乗せられない甲斐性のない男をドラマの主人公に私ならしたくない。 だから私は勝手に「ポスト鎌田」のポジションを狙っている 前置きがずいぶん長くなったけど、「ポスト鎌田」を狙うからには、彼の小説も読んでみようと勉強を始めた。 手始めに読んだのが「殺人者K」。 あとがきを読んで、 「僕の作品には日本のドラマに出てくるような可愛いを連発する女が出てこない…」 そこから始まった文章にひかれて一気に読んだ。 サスペンスかな。 男に甘えて生きていく母に嫌気がさし、叔母の養女になった主人公が、人に甘えない一人で生きていく術を身につけ、刑事になり、ある事件を捜査していく… 耽美的な官能小説の要素もややありーの、でも女のハードボイルド(あとがきでそう書かれている) 私があらすじを書くと大変軽いがそんな話… ネットであれこれ感想を読むと、男の子にはずいぶんこけ降ろされているふうな作品だけど私は好きだ。 ちょっと女の感覚で言わせて貰うとやや違う気もするけど、鎌田さんと言う人は脚本家なので、 それが小説にも出ていて、シーンやキャラクターが頭の中に映像として動き出すんです 本当に上手い作家だと何度もメモをとってしまいました。 まあ鎌田さんの世界観と言うのは嫌いな人はとっても嫌いだろう。 私が「寅さん」や「ワタオニ」が大嫌いなように でもそれが「作者のもつ世界観」だったり「カラー」だったりする。 むしろ「みんなに好かれる作家」は実は誰にも深く思われていない気がする。 私には面白い小説でしたが、「女は可愛いのが一番」なんて思っている人にはつまんない話だと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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