|
カテゴリ:山田詠美
最近また詠美さんの本を読み返している。
土曜日は「指の戯れ」を読んだ。 「指の戯れ」は詠美さんの小説の中では、 結構ハードな感じの内容。 ヒロインルイ子の前に現れたかつての恋人… 恋の主導権をとるのは常に洗練された遊び仲間と 夜を過ごすルイ子の方だったのに… ピアニストとなって再びルイ子の前に現れたリロイには、 かつての田舎者の影はなくルイ子はリロイにのめりこんでいく… 好きな作品ではあるけどちょっと他の作品とはトーンが違う感じ。 使われているお酒もブランデーが主体で 懐かしい香りの作品。 冒頭の文章に出てくる ●ムスクオイルの瓶とリカー ムスクは、この「指の戯れ」が発表された頃に 流行していた甘く切なげな香り。この当時は割りと 歌の歌詞にもムスクが使われていて、 チェッカーズの「ワンナイトジゴロ」にも 「ウォッカとムスクの香り残し・・・」という歌詞がありました。 ●ビリーホリディーのレコード この作品が発表された1986年の辺りは、 CDがまだ出だした頃で普通にレコードを聞いていた記憶がある。 特に、ビリーホリディーの「ソウルフル」と、 一言で語るには重すぎる歌声は、レコードの方があってる気がする。 家でビリーの歌声を聞く女って凄すぎる。 ビリーの歌を聞く時は絶対お酒が必要だと思う。 ●シャンペン リロイとルイ子の出会いを回想するシーンでルイ子の 仲間達が飲んでいたお酒。 時はバブル全盛期、ヘネシーやドンペリなど、 高いお酒がそれこそ泡のように夜のもくずとなって消えた時代です。 ヒロインルイ子もリロイと出会うまで、 自分の容姿を武器に高いお酒を「鏡月(きょうげつ)」のように 飲みあさっていたと思われます。 この当時の銘柄と言えば多分「ドンペリ」か「モエ」でしょう。 でも私の個人的見解で言うと、 高級シャンパンを味もわからずとにかく飲みまくるというのは なんだかとても貧乏臭い感じがします。 その辺りの小物使いも山田詠美は最高に上手いと思います。 成功したリロイがルームサービスにオーダーした 飲み物もシャンペンでした。 こんなモエを見つけてしまった ●ピナコラーダ ラムをココナッツジュースで割ったカクテル。 ルイ子がリロイをじらしながら誘う時、床にこぼしたカクテル。 とても官能的なシーン ●クリスタル クリスタルの香水瓶という言葉が出てくるのが、 果たして瓶のクリスタルの事なのか? シャネルの香水クリスタルの事なのか? どっちなんだろう??? ●ラムインコーク かつてルイ子に捨てられたリロイが飲んでいたカクテル。 詠美さんはよくスピリッツ系のカクテルを使うのだけど、 「ベッドタイムアイズ」の登場人物が割りと、 「ジン」など辛口のカクテルを好んでいたのに対して、 この小説の人物達は、「ブランデー」「シャンペン」「ラム」 などの茶色の甘めのお酒を飲んでいる。 こういう所も詠美さんのお酒使いのすごい所だ。 ●ブランデー 再会したリロイとすれ違いざまに言われた言葉に 衝撃を受けるルイ子。 そんなルイ子に、現在の恋人DCが気つけ変わりに 飲ませるお酒。 当時は酒と言えばブランデーが主流でした。 どこに行っても一番安いクラスでVSOP、XOなどが飲まれていた気がします。 懐かしさに思わずアップしてしまった。 ●白ワイン 再会したリロイが再び自分の元から消える… そう思った時ルイ子の足はリロイの部屋へ… そんな病人のような顔をしたルイ子にリロイが飲ませたお酒。 赤ワインではなく「白ワイン」を飲ませる所に 詠美さんのセンスと知性が感じられます。 時は梅雨から夏に変わる時期… 赤ワインよりも白ワインの方が身体に心地いい時期です。 詠美さんシリーズ、次回は「ジェシーの背骨」を読みます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年10月23日 13時08分15秒
コメント(0) | コメントを書く
[山田詠美] カテゴリの最新記事
|
|