お買い物の神様改め「酒と音楽と映画の神様」

作家の中で一番好きな人は日本では山田詠美。
はじめてデビュー作の「ベッドタイムアイズ」を読んだ時、

「日本にもこんなにピュアな作家がいるんだ」

と衝撃を受けた。
でも一般的には詠美さんは多分
「エロ作家」に分類されるのだろう...

いいさ、そんなヤツには言わせておけ。
詠美さんを「エロ作家」と言い切れてしまうような
可愛そうな人生を歩んできた人には
詠美さんのよさは到底わからない。

詠美さんの初期の頃のクールな文体が好きな人には
(私もその中の1人だけど)
ここ何年かの詠美さんの「風味絶佳」「無銭優雅」
そしてこの「学問」はあら...？
と、肩透かしを食わされたような始まりなのだけど、
山田詠美のすごい所は、必ずいい意味で裏切ってくれる。

そして読んだ後に
「やっぱりこの人は天才だ」
と思ってしまう。
でも困った事に、この人の小説を読み出すと、
他の作家の小説じゃダメなのだ。
代りがいない。そこもずるい...

「学問」は今までの山田詠美作品の中で、
「山田詠美の新作」だと思って読むと、
一番がっかりさせられた始まりというか文体と言うか...

詠美さんも大人になっちゃったのか...みたいな...
でもやっぱり裏切られた。
この人はすごい

あらすじ(amazonから抜粋)
東京から引っ越してきた仁美、リーダー格で人気者の心太、

食いしん坊な無量、眠るのが生き甲斐の千穂。

4人は、友情とも恋愛ともつかない、特別な絆で結ばれていた。

一歩一歩、大人の世界に近づいていく彼らの毎日を彩る、生と性の輝き。

そしてやがて訪れる、それぞれの人生の終り。

高度成長期の海辺の街を舞台に、

4人が過ごしたかけがえのない時間を、

この上なく官能的な言葉で紡ぎ出す、渾身の傑作長篇。