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「マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ」(原題:Maggie's Plan)は、2015年公開のアメリカのロマンティック・コメディ映画です。レベッカ・ミラー監督、グレタ・ガーウィグ、イーサン・ホーク、ジュリアン・ムーアら出演で、恋愛感情を維持できない女性が人工授精でシングルマザーになることを決意するも、突然、妻子ある男性と恋に落ち、勢いで結婚、子供も生まれる、が、やはり思いが冷めてしまい、夫を元妻に返そうとする、型破りな男女3人の三角関係を描いています。
「マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ」のDVD(楽天市場) 【スタッフ・キャスト】 監督:レベッカ・ミラー 脚本:レベッカ・ミラー 原案:カレン・リナルディ著「The End of Men」 出演:グレタ・ガーウィグ (マギー・ハーデン) イーサン・ホーク(ジョン・ハーディング) ジュリアン・ムーア(ジョーゼット) ビル・ヘイダー(トニー) マーヤ・ルドルフ(フェリシア) トラヴィス・フィメル (ガイ・チャイルダーズ) ウォーレス・ショーン (クリーグラー) アイダ・ロハティン(リリー) アレックス・モーフ(アル・ベントワイズ) ジャクソン・フレイザー(ポール) ミーナ・サンドウォール(ジャスティン) フレディ・ウォーカー=ブラウン(ビヴァリー) モンテ・グリーン(マックス) ほか 【あらすじ】
【レビュー・解説】 人工授精でシングルマザーになることを試みる開放的な女性が、一転、妻子ある男性と恋に落ち、結婚、子を設けるもやがて不満を抱き、夫を元妻へ返そうと企てる型破りなロマンティック・コメディを、三人のオスカー級俳優と二人の個性的なコメディアンが知的な含蓄たっぷりに演じています。 夫を元妻へ返そうと企てる型破りなロマンティック・コメディ 強力なキャスティング
グレタ・ガーウィグが演じるのは、「恋愛感情を維持できず、人工授精でシングルマザーになることを決意するも、妻子ある男性と恋に落ち、勢いで結婚、子供も生まれる、が、やはり思いが冷め、夫を元妻に返そうと企てる女性」という難しい役柄です。内面にしっかりとしたものを持ちながらも、一見、風変わりで超然としているように見える女性マギーを、ガーウィグはやや高めの声で巧みに演じています。声のトーンひとつでここまでキャラターを作れるものかと、思わず感心してしまうパフォーマンスです。 「アリスのままで」に続いてコロンビア大学の教授を演じるのが二度目のジュリアン・ムーアは、固く結いたお団子ヘアにデンマーク訛りの英語で個性的な役作りをしています。ジョゼット役はムーア以外にいないと、クランクインの二年前からミラー監督は彼女と話し合っていたというはまり役です。 妻の方が優秀な格差夫婦のダメ夫で、離婚しマギーと再婚するも新妻に返品されてしまう学者を軽妙に演じるイーサン・ホークは、派手さはないものの微妙なしっかりとコメディを演じ分けており、さすが大俳優と納得させるパフォーマンスです。イーサン・ホークは長いキャリアの中で本作が初めての女性監督でしたが、その後、「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」(2016年)でも、女性監督の元で主役女性の夫役を演じています。本作とは対象的な、寡黙で無骨な漁師という役柄ですが、女性監督の元でもタイプキャストになることなく、幅広い役柄を演じています。 これら三人のオスカー級俳優が演じる洒脱なコメディに、個性派コメディアンのビル・ヘイダーとマーヤ・ルドルフ混じることにより、作品のトーンがぐっと締まり、立体感が与えています。 知的で含蓄のあるコメディ 監督・脚本のレベッカ・ミラーは、アメリカの映画監督、脚本家、女優で、「セールスマンの死」で有名な劇作家アーサー・ミラーの娘、オスカー俳優のダニエル・デイ=ルイスの妻でもあります。彼女は絵を描いたり、小説を書いたりと多彩な才能を持ち主です。彼女はシリアス系の作品を制作することが多く、コメディは本作が初めてですが、彼女のバックグラウンドを反映するかのように知的で含蓄のある作品になっており、気の利いたセリフに思わずクスリというのも度々です。序盤でハッピーエンドになり、そこから捻りの効いた中盤、終盤が展開するという変則的なロマンティック・コメディですが、再婚をテーマにした1940年代のスクリューボール・コメディを参考にしているそうです。 本作はミラーの親友であるカレン・リナルディが送ってきた未完成の小説の一部をベースに制作されたもので、ミラーは一人で人工授精を企てたり、夫を元妻に返品しようと企てたりする、開放的な女性マギーに魅了されたといいます。このようにキャラクターの人物は稀のようにも思われますが、制作スタッフやキャストにも、
「強い女性たちや多様な女性たちを描きたかったのか?」と聞かれますが、そうではありません。人生がどんなものか、描いただけです。私の人生は、複雑で特異で矛盾した性格の女性たちで満ち溢れています。男性と同じです。私達はたかが人間です。そして、人々が映画に期待するのはそんなキャラクターたちです。(レベッカ・ミラー監督) グレタ・ガーウィグ (マギー・ハーデン) グレタ・セレスト・ガーウィグ(1983年〜)は、サクラメント出身のアメリカの女優、映画監督、脚本家。元々は脚本家志望であったが、在学中に端役でマンブルコア映画に出演したのがきっかけとなり、以降、マンブルコア映画運動で知名度を上げた。「フランシス・ハ」(2012年)、「ミストレス・アメリカ」(2015年)では出演と脚本をこなし、「レディ・バード」(2017年)では脚本と監督を務め、作品、監督、脚本など、アカデミ−賞5部門にノミネートされている。 イーサン・ホーク(ジョン・ハーディング) イーサン・ホーク(1970年〜)は、テキサス出身のアメリカの俳優、作家、小説家、映画監督。1985年に映画でデビューするが、活動を一時中断し、「いまを生きる」(1989年)で復帰、「ホワイト・ファング」(1991年)で初主演、「リアリティ・バイツ」(1994年)、リチャード・リンクレイター監督の「恋人までの距離」(1995年)、「ガタカ」(1997年)と、着実にキャリアを重ねる。「トレーニング デイ」(2001年)でアカデミー助演男優賞にノミネートされる。「恋人までの距離」の続編の「ビフォア・サンセット」(2004年)、「ビフォア・ミッドナイト」(2013年)ではリンクレイター監督、共演のジュリー・デルピーと共に脚本を手がけ、いずれもアカデミー脚色賞にノミネートされる。リンクレイター監督の「6才のボクが、大人になるまで。」(2014年)で、2度目のアカデミー助演男優賞にノミネートされている。 ジュリアン・ムーア(ジョーゼット) ジュリアン・ムーア(1960年〜)は、ノースカロライナ州出身のアメリカの女優。高校時代から演劇を始める。大学卒業後、ニューヨークでウェイトレスをしながらオーディションを受け、1985年からオフ・ブロードウェイやテレビで活躍、1990年に映画デビュー。以降、現在に至るまで、インディペンデント映画から大作まで幅広く活躍しており、これまでアカデミー賞に4回ノミネートされ、「アリスのままで」(2014年)でアカデミー主演女優賞を受賞している。 ビル・ヘイダー(左、トニー)とマーヤ・ルドルフ(右、フェリシア) ビル・ヘイダー(1978年〜)は、オクラホマ州出身のアメリカの俳優・コメディアン・声優・プロデューサー。「無ケーカクの命中男/ノックトアップ」(2007年)、「スーパーバッド 童貞ウォーズ (2007年)、「寝取られ男のラブ バカンス」(2008年)など、アパトー絡みの映画に出演する一方で、「くもりときどきミートボール」(2009年)、「モンスターズ・ユニバーシティ」(2013年)、「インサイド・ヘッド」(2015年)、「ソーセージ・パーティー」(2016年)、「ファインディング・ドリー」(2016年)等、傑作アニメへの声の出演も多い。 マーヤ・ルドルフ(1972年〜)は、フロリダ州出身の女優、コメディアン、ミュージシャン。映画監督のポール・トーマス・アンダーソンとパートナーの関係にあり、二人の間に4人の子供がいる。大学卒業後に、人気テレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ」にレギュラー出演するようになり、ホイットニー・ヒューストン、ジェニファー・ロペス、ハル・ベリー、ティナ・ターナーなどのエンターテイナーから、元国務長官コンドリーザ・ライスや大統領夫人ミシェル・オバマなどの文化人まで幅広いモノマネで人気を博する。「ガタカ」(1997年)、「恋愛小説家」(1997年)、「チャック&バック」(2001年)、「今宵、フィッツジェラルド劇場で」(2006年)、「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」(2011年)、「プールサイド・デイズ」(2014年)などに出演している。 余談:恋愛、結婚、生殖、育児の分離
私達は、恋愛→結婚→生殖→育児といったかつて連続不可分だったプロセスを分離することができるようになりました。こうしたプロセスを前提としない自由恋愛も可能ですし、人生半ばで離婚し、新たなパートナーと後半生を過ごすことも可能です。一般に恋愛は生殖をめぐる競争ですが、たった60ドルの価値しかない精子を提供する為に(あるいは提供を受ける為に)、相手探しに腐心し、厳しい競争を繰り広げることは、もはや人間にとってあまり意味のないことかもしれません。友情から自由恋愛まで幅広い男女関係を構築することができますし、特定の相手との関係に固執して共依存に陥る危険も回避できます。どのような関係を選択するかはあくまでも個人の自由ですが、難点は宗教的、道徳的なプレッシャーが減った分、出生率が減り、少子化が進むことです。過去の規範に逆戻りすることはおそらく無理でしょうから、人間社会が持続可能である為には、
【撮影地(グーグルマップ)】
「マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ」のDVD(楽天市場) 【関連作品】 「マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ」の原作本(楽天市場) カレン・リナルディ著「The End of Men」 レベッカ・ミラー監督・出演作品のDVD(楽天市場) 「マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)」(2017年):出演 「Arthur Miller: Writer」(2018年):監督 グレタ・ガーウィグ出演作品のDVD(楽天市場) 「フランシス・ハ」(2012年)出演・脚本 「EDEN/エデン」(2014年) 「ミストレス・アメリカ」(2015年)出演・脚本 「ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命」(2016年) 「20センチュリー・ウーマン」(2016年) 「レディ・バード」(2017年)監督・脚本:輸入盤、日本語なし イーサン・ホーク出演作品のDVD(楽天市場) 「恋人までの距離(ディスタンス)」(1995年) 「ガタカ」(1997年) 「ウェイキング・ライフ」(2001年) 「ビフォア・サンセット」(2004年) 「その土曜日、7時58分」(2007年) 「ビフォア・ミッドナイト」(2013年) 「6才のボクが、大人になるまで。」(2014年) 「プリデスティネーション」(2015年) 「シーモアさんと、大人のための人生入門」(2014年) 「ブルーに生まれついて」(2015年) 「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」(2016年) ジュリアン・ムーア出演作品のDVD(楽天市場) 「逃亡者」(1993年) 「ショート・カッツ」(1993年) 「SAFE」(1995年):輸入盤(リージョン1、日本語無し) 「ブギーナイツ」(1997年) 「ビッグ・リボウスキ」(1998年) 「クッキー・フォーチュン」(1999年) 「マグノリア」(1999年) 「理想の結婚」(1999年) 「めぐりあう時間たち」(2002年) 「エデンより彼方に」(2003年) 「トゥモロー・ワールド」(2006年) 「シングルマン」(2009年) 「キッズ・オールライト」(2010年) 「ラブ・アゲイン」(2011年) 「メイジーの瞳」(2012年) 「ドン・ジョン」(2013年) 「アリスのままで」(2014年) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2019年02月19日 05時00分04秒
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