家族を失うこと。
僕がまだ実家にいるときの話ですが、我が家には小学生の時から飼っている犬がいました。柴犬で、名前は「チロ」(今時ない名前ww)通称名は「田中さん」でした。あまりにも付けた名前が・・・だったので、通称名を付けていました。その「チロ」が僕が20歳くらいのときに他界しました。母親いわく、苦しそうなうめき声を挙げていたので様子を見に行ったところ、すでに微動だにせず、意識もなかったそうです。僕はその時、鼻歌を歌いながらお風呂に入っていたので、うめき声なんか全く聞こえなかったし、初めは冗談かと思っていました。でも、普段とっても怖いはずの母親が号泣していたので、すぐに本当のことなんだと自覚し、「チロ」の様子を恐る恐る見に行きました。バスタオルと毛布に包まれた「チロ」は体を丸くして安らかに眠っていました。パッと見は、軽く昼寝をしているんじゃないか。またいつものように吠えるんじゃないか。まさか、こんなことになるなんて予想していなかったので、しばらくこの事実を素直に受け止めることができませんでした。翌日、僕以外の家族が「チロ」の体を触ったそうですが、氷のように冷え切っていたそうです。僕は、触ることによって「チロ」の死を認めたくなかったのか、単なる臆病者だったのか、躊躇してしまい触ることができませんでした。業者の方にも来ていただき、確認をしてもらいましたが、どうやら老衰だったようです。家族全員が極度の悲しみに陥っており、引き取ってもらうのも辛かったですが、最後に母親が業者の方に、「たくさんの良い花を買ってあげて下さい。」と言い、1万円を渡していました。家族を失うことはとても悲しく、はかないものです。僕にもなかなかくれたことのない1万円の行方が実際にはどうなったのか気になるところですが、「チロ」は僕達家族の心の中で、永遠に生き続けていることでしょう。renさんの日記を見て、ふと「チロ」の事を思い出してしまったとです。