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カテゴリ:長男ルンバのわんぱく記
前日になってインフルエンザを発症してしまったルンバの卒園式。
出られないとわかった時は、ショックのあまり、自分を責めでもしないとやってられない気持ちだった。 ルンバに行けないことを告げると、 「やだ!いきたい!一生懸命、練習してたのに!」 と泣きじゃくった。 そうだよね、行きたいよね、でもだめなんだ、インフルエンザはとても強い病気だから。みんなにうつしちゃうといけないからね。 抱きしめながらそう話した。 その日の夕方、お迎え時間。クラスのみんなが 「ルンバくんの熱がひどくなければ、記念写真だけでも一緒に写れませんか」と園長先生に掛け合ってくれた。 写真撮影は、他の在園児たちが来る前、朝一番で行われる。卒園児とその家族しかいないし、そのだれもが 「全員で写真を撮りたい」という気持ちだから、って。 卒園式当日、3月2日の朝。 長男の熱は36.8度まで下がっていた。タミフルはよく効く。長男を起こして、写真だけで帰らなければならないけれどそれでもいいか。ちゃんと帰れるなら行こう、と話す。最初は「やだ!帰らない!」と言っていた彼はやがて「わかった」と言い、急いで出かける支度をすることに。 初めて袖を通す紺のスーツ。白いシャツ、赤いネクタイ。 「かっこいいね」とうれしそうに鏡を見てた。 わたしと夫もスーツを着て、4人で保育園に向かった。 園に到着すると、みんなが「あっ、ルンバくんだ!」とやって来た。 「来れたんだね、よかったね」 目をうるませて話しかけてくれるお母さんたち。 そして記念撮影。 撮影が終わると、「じゃあ、帰ろうね」 とルンバに告げた。 泣くかなと思ったけど、ルンバはちゃんと受け止めていて、いやだとも言わず、「うん」と素直に夫と帰って行った。そんな彼を見て「えらいね」と泣いてくれるお母さんも。 卒園式には私だけ出席した。 卒園児が並ぶ席を見ては、本当はあそこに長男がいたんだな… と思った。あまりそれを考えちゃうと、 感情が決壊しちゃうと思い、わざとぼーっとしながら式を見ていた。 卒園証書の授与が終わり、司会の先生が卒園文集を紹介した。 文集の表紙には、子どもたち一人ひとりが刺繍をして、世界でたった一つの文集に仕上げたんだそうだ。そんな話をしながら、先生は手に持った文集をみんなに見せて「これは今日、お熱を出してお休みしている ルンバくんの刺繍です。虫博士になりたいから、 テントウムシを刺繍したんだそうです。ね。ルンバくんはここにいますよ」 って言ってくれた。もう止まらなかった。 あとからあとから涙が出て、保護者席でいっぱい泣いてしまった。 いっぱい涙を流して、すっきりしてきた。 一番つらい本人が写真撮影の後駄々をこねず帰った、そのがんばりを思うと、わたしが落ち込んでる場合じゃないとも思った。 第二部は進級お祝い会だった。全クラスが劇などの出し物をする。パルタの2歳児クラスの出し物は「ピンポンバス」。 バスに次々いろんな動物たちが乗ってくるというもの。 最初、パルタはものすごくテンションが低くてやる気なさげだった。彼はシャイだからなのか、緊張しているのか、大勢の前でなにかやる時には、いつもぶすーっとしてしまう。普段はにこにこかわいいんだけどなあ。 でも、そんなテンションながら一生懸命、白鳥を演じるパルタはやっぱりとってもかわいかった。 はじめはわたしがいないと思っている様子だったパルタ、途中でわたしの姿を見つけて、ニヤッと笑った。 がんばった、がんばった。 式の後は年長クラスのみんなと食事会の予定だったけど、もちろんそれはキャンセルして帰宅。お祝いでいただいたお赤飯をルンバと一緒に食べ、その後、2人並んで座って、卒園文集を読んだ。 文集に書かれていた、ルンバから両親へのメッセージを読み、またいっぱい泣いてしまった。 ぎゅっとだっこしながら、彼もわたしたちからのメッセージを読んだ。 「えへへ。ママ、ありがと」 にっこり笑うと、長男は言った。 「今日はいい日だね」 あたたかい春の日だまりのなか、 2人で並んで座って卒園文集を読んだこの時のことを、 きっと絶対に忘れないと思った。 (ルンバ6歳5カ月/パルタ3歳4カ月) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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