テーマ:好きなクラシック(2326)
カテゴリ:音楽
グレン・グールド(Glenn Gould)の弾く、 ベートーヴェン三大ピアノソナタ「悲愴」「月光」「熱情」のCDを聴きました。 ・Piano Sonata No.8 Op.13[Pathetique] ・Piano Sonata No.14 Op.27-7[Moonlight] ・Piano Sonata No.23 Op.57[Appassionata] 最初に聴いた印象は、『驚き』でした。 こんなベートーヴェンがあるのかと。 『悲愴』 第一楽章と第三楽章は、どうしてそんなに速弾き?!ってぐらい速弾き。 なのに、打鍵はきっちり正確で、軽さはなく。 しっかりとした音の重みで刻んでいく速さ。 「悲愴」というよりは、なんだろう・・・ 悩みに対して、進む時間の速さとでもいいましょうか。 嵐のような時の流れ、みたいなものを感じます。 ちょっとショパンの木枯らしのエチュードみたいな荒れようというか。 この滑らかさ、正確さ、ハンパないです。 でも、賛否両論だろうな~って思いました。 だって、ここまでの速弾き悲愴は初めてですよ。 最初に聴いた時は衝撃でした。 でも、左手の同じ音の繰り返しも、全然濁ってないんですよ。 ・・・やっぱすごいね。グールドさん。 第二楽章は、キラキラと降り注ぐような、やさしい音。 最初、「え、月光ってコレだっけ?」と思わず見直しました(笑)。 ここはすごく好きだなぁ。 第三楽章は、第一楽章ほど重さを感じませんね。 サラリと流してるように聴こえます。 でもなんだ、あの左手の音の綺麗さは! 嘘だろうと思うぐらい、ハッキリとした美しい音色。 きっちりはっきりと、それでいてキツくない音。 第三楽章終わりになって、グールドさんの定番歌声が入ってます(苦笑)。 でもあれ、結構好きだったりするんですよね( ̄m ̄* )ムフッ 『月光』 普通によく聴くのは、結構重さがある感じのが多いんですが、 グールドさんのはサラッとしてます。 なんていうか・・・満月ではなく、歩く時に通り過ぎる三日月の明かりのような。 最初聴いた時は、ちょっと急ぎ過ぎてんじゃないの?と思いましたが、 聴いてるうちに馴染んできました。 コレはこれでアリかもしんない。うん。 月光も第二楽章でちょっとグールドさんの声入ってます(笑)。 第三楽章はめちゃめちゃ速弾きです。 ここまで人間、速く弾けるもんかっつーぐらい。 『熱情』 普通じゃ考えられないぐらいのスローペースです。 アレグロでしょ?って尋ねたくなります。 特に第一楽章の重さはハンパないです。 くっきりはっきりと、一音一音を噛み締めるように弾いてますね。 弾きながら味わってるような、そんな感覚にとらわれます。 内にじんわりと灯る熱を表してるんでしょうか。 途中からテンポアップするのか?と思いながら聴いてると、 第一楽章はずーっと、そのテンポです。 ええぇぇぇぇ~!みたいな(^^;) 第二楽章は、小さい星みたいにキラキラと輝きながら、内に降り積もる星屑のようなやさしさ。 第三楽章からは、一転して速弾きに転じます。 こちらは重さを伴った速弾き。 でも相変わらず、ピアノを滑る音の美しさは素晴らしいです。 うーん、アパッショナータを感じるか、と訊かれると、ちょっと微妙です。 私の中で、「熱情」は、狂おしいほどの想いって感じがするので。 第三楽章でそれを表してるのかなぁ。 最後の方で、揺れ動く想いっていうのは現れてると思うのだけど。 何度も聴き込んでくると、これはこれでグールドさんらしいというか、好きになってきます。 むしろ、他のを聴いた時にどう感じるんだろう、なんて思ったり。 ベートーヴェンは断然バックハウスさんだと思ってましたが、 グールドさんのにもハマりますね~。 嬉しい悲鳴というか・・・。 でも、グールドさんのベートーヴェン聴いたら、バックハウスさん怒りそう(笑)。 このCDが出た当初、ものすごい賛否両論の嵐だったんじゃないかな~って思いました。 うん、でも聴けて良かった。 たまたまオクで見かけて手にしたものだったんですが、運が良かったです。 さて、ゼルキンさんの「月光」を聴き直してみようと思います☆ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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