お気楽日記

[読んだ本] カテゴリの記事

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  「冠・婚・葬・祭」／中島京子

  人生の節目節目で、起こった出来事、出会った人、考えたこと。いろいろあるけど、ちゃんと生きよう。そんな気持ちになる4つの「今」を切り取る物語。冠...地方新聞の新米記者が成人式を取材。そこから事件が始まる。婚...引退したお見合いおばさんに持ち込まれた2枚の写真の行末。葬...社命で葬式に連れて行ったおばあちゃん。その人生とは。祭...取り壊しを決めた田舎家で姉妹は最後のお盆をする。4つの物語がそれぞれ一話完結ながら、それぞれの登場人物がリンクしていてより一層その登場人物たちの姿が目に浮かぶような、そんな本です。とにかくお勧め！読みやすく、途中で止められないくらい一話一話にのめりこんで読んでしまいました。読後感もさわやかです。一番さわやかな気持ちになったのは「冠」のお話かな。うふふと笑ってしまったのは「婚」、残りの二話もしみじみします。この人の別の作品も読んでみたくなりました。

  2008.07.01

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  「孤宿の人」／宮部みゆき

  涙なくしては読めない宮部ワールドの感動巨編！讃岐国、丸海藩――。この地に幕府の罪人・加賀殿が流されてきた。以来、加賀殿の所業をなぞるかのように毒死や怪異が頻発。そして、加賀殿幽閉屋敷に下女として住み込むことになった少女ほう。無垢な少女と、悪霊と恐れられた男の魂の触れ合いを描く渾身の長編大作。 中だるみもありましたが、加賀殿とほうとのかかわりあいが濃くなってきたあたりからぐんぐん読み進められた、という感じです。涙なくしては読めない？ん？そぉかな～？と思っていたら、最後の最後で泣かされました。

  2006.08.01

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  「王女さまは4時におみえになる」

  男の子が動物園にいくと、ハイエナがいました。―くさいなあ、男の子は顔をしかめます。ところが、このハイエナは、なんと魔法にかけられた王女さまだというではありませんか。だれかがお茶によんでくれれば、もとの王女さまにもどれるというのです。さあ、この男の子はどうしたでしょうか。ドイツ児童文学賞次席。6・7歳から。 なにかで紹介されているのを見て、読んでみたいと思っていた本です。感動の物語のはず、なんですが、残念ながら私はあまり入り込めませんでした。本棚の背表紙で、男の子の人格が図られるというのも何だかう～んって感じだし「それでいいのか？それで本当に愛が生まれたのか？」と心の中で突っ込んでしまった私です。

  2006.06.21

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  「博士の愛した数式」／小川洋子

  ［ぼくの記憶は80分しかもたない］博士の背広の袖には、そうかかれた古びたメモが留められていた-----記憶力を失った博士にとって、私は常に”新しい”家政婦。博士は”初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。第1回本屋大賞受賞。読み終えて暖かい気持ちになれる作品です。数学が不得手だった私、心底ルートがうらやましく思いました。こんなにも数学を愛している人に、数学の楽しさを語られていたら、私ももうちょっと数学に親しんでいたかもしれません。文中にあふれている、初めて目にする数字の表現に徐々に暖かさを感じられるようになるのが不思議です。

  2006.06.12

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  「理由」／宮部みゆき

  荒川の高層マンションで起きた一家四人殺し。しかしそこに住んでいるはずの家族はほかの場所で暮らしていた。殺されたのは誰か、殺人者は誰なのか。事件はなぜ起こったのか。家が、家族が、そして人が徐々に壊れていく。 私の大好きな宮部さんの直木賞受賞作です。新卒から勤めていた会社を退職するときに、友人にハードカバーをいただきました。もちろんそのときにすぐ読み始めたのですが、冒頭のマンションの描写部分で挫折。その後、読んでは挫折、読んでは挫折を繰り返して、読むのをあきらめかけていましたがこのたび腰をすえてやっと読み終わりました。感想は、う～ん…。なんでこれが直木賞なんだろう、どうして「火車」じゃなかったんだろう。なんとも尻すぼみな結末に思えて、正直物足りない、すっきりしない読後感でした。

  2006.04.10

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  「犬は勘定に入れません 　あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎」／コニー・ウィリス

  オックスフォード大学史学部の学生ネッド・ヘンリーは、第二次大戦中のロンドン大空襲で焼失したコヴェントリー大聖堂の再建計画の資料集めの毎日を送っていた。だが、計画の責任者レイディ・シュラプネルの命令で、２０世紀と２１世紀を時間旅行で行ったり来たりさせられたネッドは、疲労困憊、ついには過労で倒れてしまった。シュラプネルから、大聖堂にあったはずの「主教の鳥株」という花瓶をぜひとも探し出せと言われていたのだ。二週間の絶対安静を言い渡されたものの、シュラプネルのいる現代にいては、ゆっくり休めるはずもない。史学部のダンワージー教授は、ネッドをのんびりできるにちがいない、１９世紀のヴィクトリア朝へ派遣する。ところが、時間旅行ぼけでぼんやりしていたせいで、まさか自分が時空連続体の存亡を賭けた重要な任務をさずかっているとは夢にも思っていなかった…。ジェローム・Ｋ・ジェロームのユーモア小説『ボートの三人男』にオマージュをささげつつ、ＳＦと本格ミステリを絶妙に融合させ、ヒューゴー賞・ローカス賞のほか、クルト・ラスヴィッツ賞を受賞したタイムトラベル・ユーモア小説。 イギリス文化に詳しい人なら、もっともっと楽しめるんだろうなぁと思います。でも、知らない私でもとても楽しめました。筆者のユーモアのセンス、訳者のセンスもgoodです。読んでいる最中、何度もくすくす笑ってしまった私です。

  2006.02.20

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  「エンダーズ・シャドウ」／オーソン・スコット・カード

  エンダーの影の存在としてエンダーを補佐したビーンが見た『エンダーのゲーム』の真実とは…？恐ろしい昆虫の姿をした異星生物バガーの２度にわたる侵攻をかろうじて撃退した国際艦隊は、きたるべき第３次戦争にそなえ、バトル・スクールを設立した。そこでは未来の指揮官となるべき少年少女が訓練にあけくれていた。スクール史上、最高の成績をおさめたエンダーとビーンの活躍を描きだす『エンダーのゲーム』姉妹篇。 ロッテルダムの町で、孤児として生まれ、はいはいしかできないうちからストリート・キッドとして逞しく生きてきた少年ビーン。だが、生きていくためには、その持ち前の優秀な知能を使い、権謀術数をめぐらさざるをえなかった。やがて国際艦隊児童訓練プログラムの徴兵係にスカウトされたビーンは、バトル・スクールで自分よりも優秀なエンダーと出会う…エンダーの部下ビーンの視点で描くエンダーのもうひとつの戦い。 先日読んだ「エンダーのゲーム」を別の視点から描いた作品です。そうだったの、そういうことだったの、と読み進めながらはぁっとため息を漏らすことが多かったです。最後の最後では、ビーン君よかったね、と涙なみだでした。

  2006.02.15

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  「エンダーのゲーム」／オーソン・スコット・カード

  夫の勧めで読みました。SF好きな夫はもちろん（？）原作で読んで、もうほんっとにはまったらしくいいよ～読みなよ～と無理を承知で何度も言ってきた本です。私はもちろん（！）原作で読む気はさらさらなくて、翻訳が出たらね、と言っていたわけで、でもその翻訳がなかなかに不評だったので読むのをためらっていたのですが、今回とりあえず読んでみました。訳はともかく面白かったことは確かです。異星人からの2度の侵略を受けた地球を救うべく、将来の指揮官を育てるため世界各地から集められた天才少年少女たち。その中でも飛びぬけていたのがエンダー（終わらせるもの）くん。この少年の成長物語（いじめあり、苦悩あり）で、バトルスクールでのゲームの描写も面白かったし、20年も前に書かれた小説なのに、今のネット社会をかなり的確にあらわしているところがほぉ～って感じです。続編もたくさん出ているので、ぼちぼち読んでいきます。

  2006.02.07

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  「イカ星人」／北野勇作

  売れないＳＦ作家「Ｋ」が、近所のコンビニで手にした謎の求人チラシ。「簡単な流れ作業で高収入　単純で今日から出来ます稼げます」今にして思えば、それこそがＫにとってのイカ星人と戦いの始まりだったのだ！イカ星人の秘密工場でつくられるさまざまなイカ製品がもたらす、さまざまな悲劇・喜劇・不条理劇。噛めば噛むほど味わいがでるスルメみたいな北野ワンダー・ワールドの最新作。 不思議な作品です。何年か前に読んだ同じ作者のがとても面白かったので、つい借りてしまいました。イカ星人の免疫をつけるために、さあ今日もスルメを食べなくては…。

  2006.02.06

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  「レモネードを作ろう」／ヴァージニア・ユウワー・ウルフ

  貧しさに埋もれたこの町を出て、いい職について、いい暮らしをしたい。それには大学へ行かなくちゃ。でも、うちにはそんなお金はない。だから、ベビーシッターのバイトを始めた。学費の足しになるように。バイト先の二人の子どもの母親は、わたしとたった三歳しか違わない十七歳のジョリー。学校にもまともに行っていなくて、字もちゃんと書けなくて、仕事もすぐにくびになる、ジョリー。わたしはジョリーたちの暮らしにかかわるうちに、なんとかしてあげたい、と思うようになった…。現代アメリカが抱える問題に真正面から向き合いつつ、前向きに生きる若者たちの姿を明るく描いた話題作。ゴールデンカイト賞、全米学校図書館協会ＹＡ向けベストブック、スクールライブラリージャーナル誌ベストブック、子ども学研究センター賞など、受賞多数。 これまた図書館のお姉さんのお勧めで借りた本です。冒頭に「若いお母さんへ」という言葉があって、「若くないからどうしようかな」と言ってしまった私ですが、「若いというか若すぎるというか…」という言葉で借りることにしました。昨日の「モギ」でも思ったことですが、あきらめないことが大切なんだと改めて感じられました。簡単なようで難しいことです。現状をこんなもの、と思ってしまえば何も進まない。どうにかしたい、そのためにはどうしたらいい？と自問していかなくちゃ。ついつい現状に甘んじてしまいがちの私。もちろん本の登場人物たちと状況は違いますが、気持ちの面で変わるきっかけを大切にしたいと思いました。

  2006.02.05

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  「モギ」／リンダ・スー・パーク

  橋の下で暮らす少年の運命を変えたものは、あやしいまでに美しい高麗青磁の輝きだった。12世紀後半の韓国、青磁の村を舞台に、名焼きもの師の見習いとなった少年の物語。2002年度ニューベリー賞受賞作。 図書館のお姉さんのお勧めで借りた本です。児童書なので言葉は平易ですが、大切なことがたくさん書かれています。電車の中で読んでいて、涙をこらえるのが大変でした。この本は家で一人でじっくり読むことをお勧めします。

  2006.02.04

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  「蒲公英草紙」／恩田陸

  舞台は20世紀初頭の東北の農村。旧家のお嬢様の話し相手を務める少女・峰子の視点から語られる、不思議な一族の運命。時を超えて人々はめぐり合い、約束は果たされる。切なさと懐かしさが交錯する感動長編。 「光の帝国」の続編です。子どもが未明に泣いて、あやして寝かしつけているうちに寝そびれ、読みきってしまいました。子どもが寝ている隣の部屋で読んでいたのですが、涙があふれて止まらなくなりました。ただなんとも寂しさを感じさせる終わり方ではありました。

  2006.02.02

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  「光の帝国」／恩田陸

  膨大な書物を暗記するちから、遠くの出来事を知るちから、近い将来を見通すちから―「常野」から来たといわれる彼らには、みなそれぞれ不思議な能力があった。穏やかで知的で、権力への思向を持たず、ふつうの人々の中に埋もれてひっそりと暮らす人々。彼らは何のために存在し、どこへ帰っていこうとしているのか？不思議な優しさと淡い哀しみに満ちた、常野一族をめぐる連作短編集。優しさに満ちた壮大なファンタジーの序章。 【目次】大きな引き出し／二つの茶碗／達麿山への道／オセロ・ゲーム／手紙／光の帝国／歴史の時間／草取り／黒い塔／国道を降りて… NHKのドラマにもなった作品です。なんとも不思議な、暖かさと哀しさを感じさせるお話ばかり。読みやすくてお勧めです。

  2006.02.01

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  「占星師アフサンの遠見鏡」／ロバート・J・ソウヤー

  人類同様の知性をもつ恐竜キンタグリオ一族は、世襲制の国王のもとで中世ヨーロッパ的な文明社会をきずいていた。アフサンは見習い占星師。宮延占星師の弟子として勉学にはげむ毎日だが、神を絶対的なものと考え、森羅万象を非科学的に解釈する師の教えに不満を感じてもいた。そんな彼が最新発明品の“遠見鏡”を手に観察をはじめたとき、その眼前に開けた新しい世界観とは。真実を求める少年恐竜の成長を描く冒険ＳＦ。 SF好きな夫の勧めで読んだ本です。ガリレオやコペルニクスがどうして地動説を打ち立てたのか、なるほどこういう訳だったのね、と勉強になりました。本の中でもそうですが、宗教と深く結びついているものを否定するのはいつの時代も大変ですね。先駆者の苦労を知った気分です。夫によるとこの本はシリーズ化されているそうで、でも翻訳されているのはこの一冊だけ。続きは読みたいけど、原書に挑戦する気にはなれない私でした…。

  2006.01.29

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  「球形の季節」／恩田陸

  四つの高校が居並ぶ、東北のある町で奇妙な噂が広がった。「地歴研」のメンバーは、その出所を追跡調査する。やがて噂どおり、一人の女生徒が姿を消した。町なかでは金平糖のおまじないが流行り、生徒たちは新たな噂に身を震わせていた…。何かが起きていた。退屈な日常、管理された学校、眠った町。全てを裁こうとする超越的な力が、いま最後の噂を発信した！新鋭の学園モダンホラー。 恩田さんらしい話、といえるのではないでしょうか。学園ものというと、「六番目の小夜子」を思い出します。高校生活、なんだか懐かしい気持ちになりました。

  2006.01.15

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  「不安な童話」／恩田陸

  私は知っている、このハサミで刺し殺されるのだ―。強烈な既視感に襲われ、女流画家・高槻倫子の遺作展で意識を失った古橋万由子。彼女はその息子から「２５年前に殺された母の生まれ変わり」と告げられる。時に、溢れるように広がる他人の記憶。そして発見される倫子の遺書、そこに隠されたメッセージとは…。犯人は誰なのか、その謎が明らかになる時、禁断の事実が浮かび上がる。 私は、続けて同じ作家の作品を読む傾向があります。今のブームは恩田さん。誰もが誰かの生まれ変わりなのかもしれないけど、殺された記憶があるのって嫌だなぁ…。

  2006.01.13

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  「月の裏側」／恩田陸

  九州の水郷都市・箭納倉。ここで三件の失踪事件が相次いだ。消えたのはいずれも掘割に面した日本家屋に住む老女だったが、不思議なことに、じきにひょっこり戻ってきたのだ、記憶を喪失したまま。まさか宇宙人による誘拐か、新興宗教による洗脳か、それとも？事件に興味を持った元大学教授・協一郎らは“人間もどき”の存在に気づく…。 窓を開けて寝るのが怖くなります。って、物騒だから最近は暑くてもそんなことしないですけどね。で、結局なんだったんだろう？読者の想像に任せるってことなのかしらん。柳川に行ってみたくなりました。

  2006.01.11

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  「きらきらひかる」／江國香織

  ホモの夫にアル中の妻。セックスレスでも傷つけあっても、離れられないふたり。私たちは十日前に結婚した。しかし、私たちの結婚について説明するのは、おそろしくやっかいである――。笑子はアル中、睦月はホモで恋人あり。そんな二人はすべてを許しあって結婚した、はずだったのだが……。セックスレスの奇妙な夫婦関係から浮かび上る誠実、友情、そして恋愛とは？傷つき傷つけられながらも、愛することを止められないすべての人に贈る、純度100％の恋愛小説どうしようか迷いながら読んだ江國さんの本ですが、これは面白かったです。でも途中、ちょっと悲しかったかな。お願い、抱いてあげてって声をかけたくなりました。

  2006.01.09

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  「てるてるあした」／加納朋子

  コピー：てるてる あした。きょうはないてもあしたはわらう親の夜逃げのために高校進学を諦めた照代。そんな彼女の元に差出人不明のメールが届き、女の子の幽霊が現れる。これらの謎が解ける時、照代を包む温かな真実が明らかになる。特別なことなんて絶対に起こらないと思っていた。特別なことは、特別な人だけに起こるんだと思っていた。だけどやっぱりそれは起こったのだ。あの、春の嵐の日を境にして、私の世界はくっきりと色を変えた。不思議な街「佐々良」で暮らし始めた照代の日々を、彼女を取り巻く人々との触れ合いと季節の移り変わりを通じて鮮明に描いた癒しと再生の物語。以前読んだ「ささら さや」の姉妹版と紹介されていたので借りてみました。「ささら さや」を読んでいればより一層楽しめると思いますが、読んでいなくても十分楽しめる作品です。人の温かさに、うるうるしたいときにお勧めです。

  2005.12.23

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  「赤い長靴」／江國香織

  なんだか気になる雰囲気の表紙だったので、借りてみました。コピー：二人なのに一人ぼっち、ただふわふわと漂っている。寄る辺もなく。江國マジックが描き尽くす　結婚という不思議な風景前回読んだ本がメルヘンチックだったので、日常の内容をどう書くのか期待していたのですがはっきり言って、期待はずれでした。微妙にすれ違っているような、つりあっているような不思議な夫婦の日常をこまごま丁寧に描写しているにもかかわらず、結局何ということなしに終わってしまった。何らかのカタルシスを期待していたのが間違いだったのか、途中、あまりにも気が進まなくなったのをカタルシスがあると信じて読み進め、結局なかったのでがっくりしたというのもあるけど、私にはとてもつまらなかったです。2作目にこういうのにあたると、この作者の次の作品に手を出そうか出すまいか悩んでしまいますね。

  2005.12.19

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  「漢方小説」／中島たい子

  東洋医学的なものに弱い私、タイトルとすっきりした表紙に惹かれて借りてきました。コピー：薬も、癒しも効かない、あなたに贈る処方箋。みのり31歳、独身。元カレが結婚すると知ったその日から、原因不明の体調不良になった。行き着いた先は漢方診療所。悪戦苦闘する女性をそこはかとないユーモアで描く、あなたのための処方箋。第28回すばる文学賞受賞作。 西洋医学では「不明」とされ、たらいまわしにされた主人公の症状が、東洋医学ではあっさりと受け入れられ、「本治」を自覚できるまでに回復していく様子に私まで癒されました。かなり詳しく漢方薬について書いてあるので、それも勉強になりました。笑いのセンスもなかなかいい感じで、一人でくすくす笑ってしまいました。

  2005.12.15

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  「すきまのおともだちたち」／江國香織

  恥ずかしながら私、江國さんの本は今まで読んだことありませんでした。表紙の女の子がとてもかわいくて、思わず手にとってしまった本です。コピー：「過去の思い出って淋しいのね」旅先で出会った勇ましい女の子と私との、いっぷう変わった友情の物語。 会うのも別れるのも唐突で、いつでも会えるわけではないだけに、新聞記者の「私」と旅先で出会った女の子とのいっぷう変わった友情は、せつなくてきらきらしている。ふとした瞬間にこんな女の子とのつながりが持てたなら、どんなにか素敵だろう。そして、普段の生活でもその女の子がどう暮らしているか考えるのは自分の生活をどんなにか豊かにしてくれるだろう。そんな風に思えた作品でした。

  2005.12.10

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  「花まんま」／朱川湊人

  図書館においてあった再利用雑誌、1年以上前の「オール読物」で読みました。この本は短編集ですが、私は表題作の「花まんま」しか読んでいません。でもきっとほかの作品も期待を裏切らないものであると思います。柔らかい関西弁で書かれている表題作はちょっと不気味で、でも何とも懐かしい昭和の時代を思い出させてくれます。そして、登場人物のそれぞれが家族を思う気持ちが胸に響いて泣けてきます。最初、黙読していたのですが、母が遊びに来て、作業してもらっているときに音読して改めていい小説だなぁと感じました。-------追記図書館で予約していた本がやっと来たので、全編読みました。さて感想です。表題の「花まんま」が秀逸で、次は「トカビの夜」それ以外は、まぁいいか、と言う感じでした（私にとっては）。オール読物で読んだときの「花まんま」と印象が少し違ったので読み比べてみましたが、結構筆が入っているなぁと驚きました。最初読んだときに「ん？」とちょっと引っかかった部分がなくなっていたり読みやすくなっている部分があったり。文章を作っていくのは大変な作業だなと改めて思いました。それにしても、これが直木賞かぁという感じ。確かに読みやすいけれど、直木賞作品としてはちょっと軽いような気もします。

  2005.11.26

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