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お気楽者でいこう!

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けんパパ@福岡

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December 10, 2004
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 通勤中に横を通る樋井川に、もうユリカモメたちが渡ってきてます。
 ふと「ぴゅるるるるーーー」という声が聞こえたので上を見上げると、鳶(とんび)がクルリと輪をかいてます。なぜだかわかりませんが、福岡ドーム近くにはよくいるんですよ。

 日本最初の本格的推理小説(しかも完成度が高い!)『半七捕物帖』の作者である岡本綺堂のエッセイにありましたが、明治の中頃の新聞に「東京市内に鳶が現れて油揚げをさらっていった」という記事があるそうですから、もうその頃には珍しかったんでしょうね。

 さて、もう師走ということで、火の始末には気をつけるシーズンになりましたね。
 僕が子供の頃には、冬の夜更けに「火のよーじん! マッチ一本火事の元」という呼び声を聞いた記憶がかすかにあるのですが、最近はどうなんでしょうね。落語の方には『二番煎じ』という、人間臭くてあったかい話があって、故古今亭志ん朝師の名演を聞くと、寒い冬の晩もいいなあと思ってしまいます。

 江戸時代の火消しといえば、鳶職の仕事です。
 大岡越前守(えちぜんのかみ)が、いろは48組の町火消しを組織させたのが始まりです(ちなみに「ら」「ひ」「へ」組はなかった)。
 その頃の火消しは、破壊消防といって、今のように水で消し止めるのではなく、家並みをこわして延焼を防ぐのが火消しの仕事です。したがって、効率よく壊すためには、作った人でないとわからないわけで、しかも高いところをひょいひょい動き回れる人ということで、鳶の職人たちが消化活動にあたりました。鳶という名は、彼らが使う鳶口という道具から来ています。

 時代劇の火事のシーンでは、纏(まとい)を振ってる姿が出てきますが、あの纏をどんと立てると、「ここまでで絶対消し止めてみせる」という印なので、一旦纏を立てたら、男のメンツにかけておいそれと後退できないんですね、これが(^^; しかも、いくつかの組が共同で消化にあたってるときに、自分の後ろにもう1本纏が立ったら、後ろが引くまでは、前の纏は下がれないというルールもあります。実際、そんなメンツのために焼け死んだ人もいたんだそうです。

 そんな危険な仕事なのに、あの纏持ちというのは、実は憧れのポジションで、火消しの中では頭の次のNo.2がやる仕事でした。だからこそ若い連中は、「兄貴を死なすな~」ってんで、しゃかりきになって働いたそうです。

 火消しの頭ってのが、これまた人望が要求される立場の人で、火事のときにどの家までを壊すか壊さないか、またへたすりゃ命を落とす危険な場所に誰を配置するかを決めるわけですから、生半可な判断力じゃできません。仮に失敗したとしても、「あの人が判断してこうなったんなら仕方ない」と回りが納得する人物でないとやっていけません。
 だからこそ、江戸の三男(さんおとこ)といって、いい男の代表的職業は「与力、相撲に火消しの頭」となってます。ずいぶんモテたろうと思います。

 一旦火事があれば命を落とすかもしれない危険な仕事をしているわけですから、当然鳶の連中は荒くれ男が多く、みんな彫り物はしてるし、すぐにケンカ始めるしで、今なら嫌われるタイプの人種なんですね。『火事息子』という落語でも、大店の若旦那が火消しになりたいと言い張って、ついに親から勘当されてしまいます。

 面白いことに、江戸の町では鳶の連中を火消しとして町内が雇ってる形になってるんですね。鳶職としての仕事の一日分にも満たない雀の涙程度の手当ですが、それでも町内のみんなが頼ってくれるという精神的満足により、どぶさらいから町の用心棒までやってたそうです。そりゃー、こわもてのおあにいさんが町内に目を光らせてりゃ、変なやつは入ってきにくいでしょうね(^^;
 また、男の子にとっては、彼らの背中の彫り物や威勢のよさから、憧れの存在だったようです。

 現代なら3Kと言われること確実で、しかも嫌われるタイプの人が多い集団を、逆に生かした江戸の人々の知恵は、見事としかいいようがありません。

最後にいい話:
 現代の消防士さんもそうですが、昔も今も火事のときの現場責任者の最大の仕事は、「救助のために無理やり中に飛び込んでいこうとする隊員を、いかに押しとどめるか」なんだそうです。
 人って美しいなあと思います。


 ※参考文献『大江戸ボランティア事情』(講談社文庫/石川英輔)





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Last updated  December 11, 2004 12:22:07 AM
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