|
テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:ポーランド映画
家族にも仕事にも恵まれた平凡な男が、娘の成長の記録を残すために購入した8mmカメラにのめりこんでいく姿を描く。 キェシロフスキ監督が評価されるきっかけとなった作品です。 当時のポーランドの体制を感じ取りつつ観ると、不思議な面白さが味わえる良作。 今となっては言論の自由という言葉で、大半が簡単に解決されてしまうのだろうなと思いながらも、ここにしかない惹きつける何かをいっぱいに感じました。 「8mmで撮影するモス 後で見守る妻」 我が子が誕生する瞬間を今か今かと待ちわびる平凡な男モス。 彼はそわそわして居ても立ってもいられないほど、赤ん坊を楽しみにしていたはずでした。 ところが、勤め先の工場長から25周年記念式典の記録映画を撮って欲しいと依頼され、それ以降、瞬く間にカメラのトリコになってゆくのです。 妻も赤ん坊も忘れ、作品作りに没頭していく姿は、監督が自身を重ね合わせている部分もあるのでしょうか。 乳飲み子を抱えた妻の孤独と怒りは、言うまでもなく収まりません。 撮っていいもの、会社としては撮られるとまずいもの...そんな周りの事情をアマチュアであるが故にわからないで撮り続け、いつしか彼を取り巻く環境が一変してしまっている驚愕。。 「会社から16mmを支給されますますのめりこんでいく…」 分からないからこそ、捉えることの出来た素晴らしい映像。自由な視点。 ものを作る楽しさ。 男にとって家族よりも大事な何かがあると確信してしまった時―すでに何もかもが狂い始めているのです。 夢中になると、ないがしろにせざるをえないものが出てくるのは当然ですね。 そこを上手く調節しながら、誰でもが社会生活を送っています。 けれど彼のようにアマチュア映画祭で入賞し‘認められる’ことを経験してしまうと、どうにも止められなくなるというのもすごくよく分かるのです。 モスに感情移入して観ている部分もかなりありました。 モス役のイエルジー・スチュエルは人間味ある演技で好演しています。 工場長から受ける圧力など、社会派作品としても見ごたえある作品でした。 原作・監督 クシシュトフ・キェシロフスキ 脚本 クシシュトフ・キェシロフスキ 、イエルジー・スチュエル イェジ シュトゥール 撮影 ヤツェク・ペトリツキ 音楽 クシシュトフ・クニエッテル 、クシシュトフ・クニッテル 出演 イエルジー・スチュエル 、マウゴジャータ・ジャブコウスカ イェジ・シュトゥール 、マウゴジャータ・ゾンプコフスカ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[ポーランド映画] カテゴリの最新記事
|