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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:日本映画
結婚後四年、亮太郎と妻・文子の間には冷い倦怠の空気が流れている。些細なことでも諍いの耐えない毎日。そこに、新婚旅行に出かけた筈の姪のあや子が、突然尋ねてくるのだった―――。 倦怠期を迎えた夫婦の日常を淡々と描いた人情喜劇。タイトルの「驟雨」とはにわか雨のことだそうです。 突然始まりすぐに終わる夫婦の喧嘩を、にわか雨に例えているのでしょうね。 ある日、日曜日の過ごし方で言い争っていた夫婦のもとに、新婚旅行に行っているはずの姪が突然やってきて、旅先での夫の行動がどうしても許せないと愚痴を溢します。この先上手くやっていく自信がないと、泣きながら、、。 いままさに喧嘩していた夫婦は、幻滅してもなにしても、結局は上手く機能していくものだとわかっているのですが。 姪が帰ったあと、釈然としないままの生活が続きます。 ご近所とのトラブルや、亭主のリストラ問題など、半世紀も前の作品ですが、今の時代にも充分通用する切なさやもどかしさがありました。 とても余裕があるとはいえない暮らしに、先のことを考えると夫の胃は痛むばかり。 家業を継いで裕福に暮らす級友に再会して、惨めな気分を味わうのにも、もう嫌気が差している。 「田舎へ帰りたい、そうすれば希望が持てる――」その思いは日に日に募っていきますが、妻は反対。意見は食い違うばかり。 社交的な夫と、篭りがちな大人しい妻。性格の違うふたりは、それゆえ喧嘩ばかりだけれど、自分にない部分を持っている相手だからこそ補ってもらえる面もいっぱいあります。 この夫婦もまさにそう。 今は少しずれているけど、またちゃんと上手くやっていける日がくるのがよくわかる。 夫婦って難しいなぁ、、とつくづく感じます。おもしろいけど。 ちょっとユーモラスに、切なく、温かく。観る者をその場に引きずり込んでいくような、魅力たっぷりの成瀬巳喜男ワールドは素晴らしいです。 結局、新婚旅行で絶望を感じたはずの姪も元鞘に納まり、円満にやっていることを手紙で知らせてくる。 監督の感じる夫婦の絆の深さを、さりげなくしっかり感じるラストなのでした。 監督 成瀬巳喜男 原作 岸田國士 脚本 水木洋子 音楽 斎藤一郎 出演 佐野周二 原節子 香川京子 小林桂樹 根岸明美 恩田清二郎 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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