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行きかふ人も又

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2006.10.07
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カテゴリ:日本映画

 中学1年生の少女・サチ子(宮崎あおい)は、小学校時代の担任・緒方(田辺誠一)との恋愛や、二人だけで暮らしている母親(りょう)の自殺未遂などで押しつぶされそうだ。学校へも行かず、街で知り合った少年らと過ごすサチ子だったが……。同級生・夏子のおかげで再び学校へ行くようになっても、冷徹に見つめ続けた荒んだ日常は変わらないのだった――。


 いまどきの子どもの心の闇を淡々と描いた問題作。両親は離婚、一緒に暮らす母は自殺未遂、好きになった人と今は離れ離れ・・・それがサチ子の現実だ。
過酷な状況で、彼女は冷酷なまでに無表情。
登校拒否を始めてからは、知り合った少年たかおや精神薄弱のキュウゾウらに元気をもらい、少しずつ笑顔を取り戻すのだが、もう普通には戻れないことも、人生そんなに甘くないことも、ちゃんと知っている。

内容はともかく、何よりサチ子を演じた宮崎あおいに釘付け。『NANA』ではキュートさが目立っていたいけれど、3年前にこんな擦れた役を演じていたとは。表情がたまらなく魅力的だ。
まだ幼さが残っているのに、母親とその恋人に向ける冷たい目線や、同級生のノリについていけない大人びた疲れたこころの主人公を熱演している。

両想いの先生・緒方とは、手紙をやりとりしている設定。とても真面目な先生は、教え子(しかも当時小学生だった)を愛してしまったことで、少なからず自分を許せず、好きだからこそ距離を置くために、辞職して東北の発電所で働いている。
本気だからこそ離れたのだけれど、サチ子にしてみれば、傍に居てくれたらもう少しは救われたのかもしれない――そんな微妙な関係になってしまう。
先生を演じた田辺誠一の、持ち前の端正な容姿と、誠実そうな姿から、純愛であることがしっかりと伝わってくるのは好印象。

害虫

追い詰められても、けして泣かず、爆発もしない。助けを求めて、それが得られなくても、諦めの中で生きてくしかない。
そんなサチ子の冷たい青春が胸に響く。 


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   監督  塩田明彦
   脚本  清野弥生
   音楽  ナンバーガール
   出演  宮崎あおい 、田辺誠一 、沢木哲 、蒼井優 、りょう






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Last updated  2010.12.10 20:17:58
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