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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:日本映画
瀬戸内の小島で大阪の芸者・ふみと出会った寅次郎。生き別れの弟に会うのをためらうふみをけし掛けて、寅次郎は一緒に会いに行く。しかし、弟はもはやこの世にはいなかった。悲しむふみに寅次郎はなにもしてやれなくて……。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 久しぶりに寅さんシリーズを書きます。 24作目からアップしないでいましたが、相変わらず楽しく観ています。こちらは27作目。 また寅さん~ という感じですがしばしお付き合いくださいね マドンナは松坂慶子さん。 この年こちらと「青春の門」に出演してブルーリボンと主演女優賞を総なめにしています。 キラキラ輝いていて存在感あって、あまりに美しい姿とお声には男でなくてもうっとりしてしまいますね。 そんな松坂さんが演じる‘ふみ’に、頼られ思慕を寄せられる寅さんはかなりの幸せ者・・・のはずでしたがそう巧くはいかないのがこのシリーズの宿命です。 芸者のふみは幼少の頃生き別れた弟に会うため、寅次郎に付き添ってもらい職場を訪ねていくのですが、僅か前に発作で倒れてこの世を去ったと聞かされるのです。 仲間達に手厚く葬られ、可愛い恋人までいた弟に、孤独ではなかったと安心するふみでしたが、心の支えであった唯一の肉親を亡くした彼女は、喪失感でいっぱいになります。 その夜、芸者の仕事も手に付かず酔ってふらりと寅次郎のいる旅館を訪れたふみは―― 「寅さんの膝で泣いてええ?」 絶世の美人が倒れこむように寅さんの膝に泣き崩れるシーン。 もうとっても艶っぽくてドキドキで、どうするの!寅さん!とこちらまで動揺・・・ もちろん頼りになる寅さんはそつなく場を逃れますが、一緒に寝るわけにもいかず、寝息を立てるふみを一人残しその部屋を去ってしまいます。 小さな行き違いから叶いかけていた恋がダメになるパターン、幾度目でしょうか。 ほんとに切ないですね~ 再会を果たすことがいつも救いでありますが、今度はヒロインが婚約したことを話すために‘とらや’を尋ねてくるからたまりません。 失恋には慣れっこの寅さんでさえ、今度の仕打ちは辛くて辛くて、ひとり部屋に帰ってグチとも文句ともつかぬ台詞を言うあたりは、シリーズでも珍しいシーンなのではないでしょうか。 ふみがわざわざやって来たのは、もう一度顔が見たかったから会いたかったからだと、寅さんは何時ごろ気付いたのでしょうね~ 結局は、2度目の再会が用意されていて、吹っ切れた寅さんの満面の笑顔がみられるいつもの後味の良いエンディングを迎えるわけですが、そんな寅さんの前には涙ぐむふみの顔が…… 切なさを誘います。 台詞のよさ、脚本のよさがより多く感じられた27作目。 大阪での物語は、言葉の楽しさから始まり、関西人と関東人の恋愛観の違いにまで及びます。 引き際が肝心なのか、バカといわれてもアホといわれても地獄の底までついていくのか…… どっちもいいけれど、北国の私は引き際かと思ってしまう方かもしれません。。でも寅さんもそうだからこの恋を失ってしまったのですね~~ この回から満男役が吉岡君に変わりました(どうしても‘くん’を付けてしまう) 前の年の作品で山田洋二監督の「遥かなる山の呼び声」に出演していた彼。きっと監督がピンときたのでしょうね。 満男はこれから存在感が増して、最後の方には寅さんと満男のツーショットを多く見る事になります。 これまで演じてきた子は、ただ撮影所の近くに住んでいた子だそうで、吉岡君になってなかったらと思うと少しこわいかも。 交代があって良かったと思います。 この翌年から「北の国から」の撮影が始まったのだそうです。 原作・監督 山田洋次 製作 島津清 、佐生哲雄 脚本 山田洋次 、朝間義隆 音楽 山本直純 出演 渥美清 、倍賞千恵子 、松坂慶子 、吉岡秀隆 下絛正巳 、三崎千恵子 、前田吟 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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