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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:カナダ映画
カメラとユーモアを武器に世の中の不合理に鋭く迫る異端のジャーナリスト、マイケル・ムーアが、全米に大きな衝撃を与えたコロンバイン高校銃乱射事件を足掛かりに、アメリカ銃社会の矛盾を強烈に斬りまくった傑作ドキュメンタリー。 “なぜアメリカはこんなにも銃犯罪が多いのか?!” 冗談は人の営みを円滑するというけれど、その扱いをよく心得活用して風刺ドキュメンタリーものを作る天才が、監督マイケル・ムーアかもしれません。 “なぜアメリカはこんなにも銃犯罪が多いのか?!” アメリカの歴史を教える短編アニメーションは秀逸です。 教材として使えそうなほど明解に、アメリカに銃が蔓延るまでの経緯を凝縮して教えてくれます。 殺しては怯えて、怖いから武装して、殺される前に殺すようになった経緯。 病んでいるのはわかっていたけど、ここまできているとは・・・。 マイケル・ムーアといえば突撃取材ですね。 本作でも全米ライフル協会の会長である、かの名優チャールトン・ヘストンに突撃。 いくら名優でも、この映画での言動を見る限りではマイナスのイメージしか持てないという印象でした。ムーア氏に攻められて、そそくさと退出していくその後姿はただのお爺さんなのですが、代表者としてやっていることは無神経過ぎます。 コロンバイン高校での出来事はショックでしたが、6歳の少年が同じ年の少女を銃殺するなど、ほかにも驚くべき事件がたくさん起こっているアメリカ。 政府の報道操作や行政のありかたを、同じく銃保有率の高いカナダと比較して考えていくので、説得力がありとても明快でした。 後半には、大手スーパーに弾丸を置かないようにと談判しにいくなど、行動を起こして企業を動かすシーンもありますが、それでもこの国は本当に変わるのか…ものすごく疑問が残りました。 というより絶対変われないだろうと、悲観的なことを考えてしまいます。 構成・編集が巧く、楽しく過ぎてゆく2時間。 大問題を笑ってちゃいけないのかもしれませんが、ユーモアの中に込められた風刺ほど、気持ちに入りやすいものはありません。 個人の意識がどれだけ国を動かすのか、ムーア氏の作る映画がどれくらいたくさんのアメリカ人の意識を変えるのか、これからも見ものかもしれませんね。 他人事のようですが日本人である私たちには、そして多くの他の国の人々にも当然である意識がなくなってしまっているアメリカです。 同氏の「アホでマヌケなアメリカ白人」と邦題のついたTV映画がありましたが、まんざら言い過ぎでもないと鑑賞後に思えてしまったのが悲しい。 監督 マイケル・ムーア 製作 チャールズ・ビショップ 、ジム・ザーネッキ マイケル・ドノヴァン 、キャスリーン・グリン マイケル・ムーア 製作総指揮 ウォルフラム・ティッチー 脚本 マイケル・ムーア 撮影 ブライアン・ダニッツ 、マイケル・マクドノー 編集 カート・エングフェール 音楽 ジェフ・ギブス 出演 マイケル・ムーア 、チャールトン・ヘストン マリリン・マンソン 、マット・ストーン ジョージ・W・ブッシュ (カラー/120分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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