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テーマ:いい言葉(572)
カテゴリ:本
僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの幸いのためならば僕のからだなんか百ぺん灼いてもかまわない―― 本棚で眠っていた懐かしい文庫本を久しぶりに読み返す。 冒頭の台詞は、いまでも諳んじることができるし、中学生のころに買った本がいまも手元にあるなんて、いっぱい好きな証拠。 「ベジテリアン大祭」「よだかの星」「オツベルと象」「銀河鉄道の夜」・・・どれもこれも切なくてたのしくて、なつかしい。 童話の宮沢賢治と思ってきたのがそうではないと知って、なんだか以前とはまったく違う受け止め方ができたみたい。素直で率直でいじらしい主人公たちが、猫であれ人であれ草木であれ、みんな愛しく思える不思議な世界感。 純粋すぎて痛々しかったりするけれど、風刺やユーモアに救われる。 先日、「ブッダの夢」で、"カムパネルラは本当は女性なのです"と読んだ。 それでもわたしには線の細い少年像が浮かんでくるばかりで、もちろん内的になのだけれど、女性と感じとることはできなかった。 病弱で37歳という短い生涯を終えた宮沢賢治。根っからの仏教徒であった氏の、どの宗教にも通じるような心身の置き方がいい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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