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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:多国合作映画
アフリカのビクトリア湖は多様な生物が生息していたことから、かつて“ダーウィンの箱庭”と呼ばれていた巨大湖。そんなビクトリア湖に、外から持ち込まれた肉食の巨大魚“ナイルパーチ”が放たれた。ナイルパーチは在来の魚を次々と駆逐、生態系を破壊していく。 湖畔の町にはナイルパーチを加工・輸出する一大産業が誕生するが・・・ グローバリゼーションの縮図とも言えるこの町で繰り広げられている恐るべき日常を見つめていく。 今年になってやっと一度目の劇場鑑賞です。初めて行く狸小路のシアターキノにて。 内容は上に書いたとおりです。 自然豊かだったビクトリア湖に、半世紀前に放たれたナイルパーチ。 在来種を絶滅させながら激増したナイルパーチを利用しようと、EUは魚加工産業の設備をすべて整えますが、そのせいで人々はナイルパーチに依存していきました。 自然は破壊される、大切な地元の食料はすべてヨーロッパ(日本へも)へ運ばれ、貧困は増すばかり。 病院もなく、エイズや怪我で死んでいく男たち。残された妻は売春婦として生き延びるよりほかありません。 貧しさから子は捨てられ、ストリートチルドレンたちは、タバコを吹かし、魚の梱包材を溶かした液体の作用(麻薬)でどうにか辛い毎日を生き延びています。 とにかくひどい悪循環です。 現地の工場長も、輸送するパイロットも、ナイルパーチの加工品を輸入する会社も。 自己の利益ばかり考えて、現地の人々は、残された魚の骨についたわずかな身を食べることしかできないのです。 そこには蛆が湧き、とても人間のいられる環境じゃないのに。 私も冷凍食品などで外国産の魚を食べているであろうに、こういった悲惨な現実を知りませんでした。 もちろん実際ナイルパーチを食べてるかどうかではなくて、自国でできた、それも身近な食材を料理して食べることの大切さを改めて思います。 現地の人々の分まで食べている現実は、きちんと受け止めて変えていかなければなりませんね。輸送に使う燃料(資源)のことも・・・ 多少値段は高くても、自分の国でとれた食物を消費すること。これまでにも増して徹底していかなければいけないなと思います。 個人の意識で変わるところが少しでもあるなら、このドキュメンタリーは意義のある作品なのではないでしょうか。 けど、それにはまず自給率を上げないと日本はやってはいけないのでしょうね。。 積載量を超えた魚を積んで墜落した無数の飛行機が、そのまま転がっている国。 そこで暮らす人々は、人生の選択さえできずに、ただ短い生涯を終えるばかりです。 子どもたちの表情が一様に暗いのが印象に残っています。 ・追加・ 町の人たちが映りの悪いTVでクストリッツア監督の「黒猫・白猫」を観ながら笑っているシーンに、ちょっとだけ親近感をおぼえました 監督・脚本 フーベルト・ザウパー (カラー/112分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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