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行きかふ人も又

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2007.03.10
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カテゴリ:ポーランド映画


  ワルシャワから海辺の避暑地に向かう週末の夜行列車。強引に乗り込んだ黒眼鏡の男・イェジー(レオン・ニェムチック)と、同室の若い女性マルタ(ルチーナ・ヴィニエツカ)は、互いに孤独を胸に抱えていた。殺人犯が列車へ紛れ込んだことで起きる波紋をサスペンス豊かに描きながら、それぞれの人生を鋭くあぶりだす。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



  とても良かったです。
夜行列車の車内で描かれる人間模様と、殺人事件の影。
冒頭、サングラス姿で登場する主人公イェジーは、切符を忘れて無理やり乗り込んだ夜行列車で、ワケありの女性マルタと同室になります。
ふたりは互いに共通の何かを感じて、やがて愛情とも思える切ない感情が生まれるのですが。。


POCIAG POCIAG

「冒頭怪しげに登場するサングラスの主人公イェジー」       「同室となった二人はいろいろ語り合う」




冒頭から全編通して流れているジャズと、女性ヴォーカルのもの憂げな歌が、すごく素敵でした。
主人公の男女以外にも、不眠症の男や、マルタを追いかける若い男(ズビグニエフ・チブルスキー)、巡礼者一行、アバンチュールを求める人妻など、様々な人間の姿が情緒豊かに哀愁もって映し出されます。


pociag3_mini.gif pociag2_mini.gif 
「マルタを執拗に追う男」          「不眠症の男と神父」




旅先では出会いがある。
出会いは人に変化をもたらします。
外野の人にはわからない間にも、ふたりの男女は心を動かしています。
殺人犯が列車に潜んでいるという状況下。
男は警官に連行され、女は別れた恋人に付きまとわれ・・・それでも自分の身を思いやってくれる相手に出会えた、この夜の一瞬の火花は、観る者の心にも鮮烈に残るのではないでしょうか。
物語が進むうちに主人公らの身の上が明かされていく展開が、サスペンスの雰囲気にも似合い好感持てました。


犯人を追い詰め、騒動が止んで、不眠症の男が初めてぐっすり眠りこけて明けたその朝、列車は目的地へと到着します。
なんとも瑞々しくて、一緒に旅をした気分にさえなっているラストでした。
見終えたあとは、きっと汽車の旅がしたくなりそうです。

自然と生まれた協調が、いとも簡単に解けていく旅の終わり。
誰もがみんな、それぞれ行くべき場所へ歩き出します。
男は駅で待つ妻の元へ――。女は海辺をひとり歩いて――。
絵になるインパクトあるシーンの数々と、列車内の閉塞感が相まって、まとまりある素晴らしい映画だと思います。
駅をいく無数の人々を頭上から捉えたオープニングロールが秀逸でした。



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監督  イェジー・カヴァレロヴィチ
脚本  イエジー・ルトフスキー 、イェジー・カヴァレロヴィチ
撮影  ヤン・ラスコウスキー  
出演  ルチーナ・ウィンニッカ 、レオン・ニェムチック
     ズビグニエフ・チブルスキー


 (モノクロ/100分)









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Last updated  2007.03.16 14:58:08
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