|
テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:香港映画
芥川龍之介が大正9年に発表した『南京の基督』に『歯車』『或阿呆の一生』を融合させて映画化した作品。 1920年代の中国・南京。ひとりの日本人作家(レオン)とまだ幼さの残る娼婦が出会う。少女・金花(富田)は、一点の曇りもない純真さで神を信じていた。やがて少女の一途さ、純真さに惹かれていった岡川は、金花との愛の日々の中ですさんだ心を癒し、忘れかけていた創作意欲を高める。 しかし父親の訃報をうけ、岡川は南京を去ることになる・・・。 お世話になっているベティさんから、おすすめしていただいた作品です。 切なくて・・・とても好みの作品です。 ベティさん!ありがとうございます 大好きな映画にジャン=ジャック・アノーの「愛人/ラマン」というのがあって、主演男優は同じくレオン・カーフェイ。 似た雰囲気を、この映画にも感じました。 どちらも切なくキュンとなる映画ですね~ 敬虔なクリスチャンである金花を、富田靖子が熱演しています。 言葉の壁など感じさせない見事な中国人の役、透明感ある演技に脱帽でした。 そしてその彼女を愛するようになる日本人・岡川にはレオン。 僅かしか日本語のシーンがないので、こちらもさして違和感なく、叶わない愛に苦しむ作家を好演していました。 役名の岡川龍之介――というのは、原作者のもじりなのかもしれませんね。 それとも原作どおりなのでしょうか。 日本に妻と子がありながら、金花を見初めて愛し合うようになる岡川は、たしかに身勝手なのだけれど、純粋に深く彼女を愛する姿に嫌悪感は湧きません。 後ろ髪を引かれる思いで日本へ帰ってからは、金花が梅毒に侵されたことを知って、いても立ってもいられなくなるのです。 彼が戻ってくる日だけを思って、弱っていく体で健気に生きている金花がとても切ない。 病気を移されたことで仕事もさせてもらえず、田舎へ帰っても貧しさから娼館へ戻ってくるしかない彼女があまりに悲しくて・・・ 神を無心に信じる、学のない彼女があまりに痛々しい。 この辛さはラース・フォン・トリアーの「奇跡の海」ととても似ている気がします。 純真であるがゆえに壊れていく、自分を大事にできない女性たち。 愛されるのは幸せだけど、悲劇しか待っているものはないのです。 スローモーションを多用して、幻想的にかつ文学としての格調が失われていない素敵な作品でした。 官能的に描きながらもプラトニックさを感じるというところに、「ラマン」に共通した魅力を感じました。 富田靖子のヌードがとっても綺麗です。 監督 トニー・オウ 製作 大里洋吉 、レナード・ホー 原作 芥川龍之介 脚本 ジョイス・チャン 音楽 梅林茂 出演 レオン・カーフェイ 、富田靖子 トゥオ・ツォンホワ 、ジェシカ・チャウ ラオ・シュン 、中村久美 (カラー/100分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[香港映画] カテゴリの最新記事
|