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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:多国合作映画
1938年、ロンドン。ジュリア・ランバート(アネット・ベニング)は女優として演劇界の頂点に立ち、舞台監督の夫マイケル(ジェレミー・アイアンズ)との結婚生活も、順調で満ち足りた日々を送っていた。しかし、変化のない生活に不満を感じずにはいられなかった。ちょうどそんな時、親子ほども年の離れたアメリカ人青年トムがジュリアの前に現れる。彼女の熱烈なファンだというトムと、刺激を求め瞬く間に恋に落ちるジュリアだったが・・・。 硬派なイメージのイシュトヴァン・サボー監督でしたが、こちらはコメディといってもいいほど、ウィットに富んだ作品。 この爽快さ! ご機嫌になってしまうサプライズが待っています。 舞台女優が求めた危い恋の行方を描くだけ? ―――かと思いきや、ショービジネスの世界で生きる、狸たちがいっぱい。 本気の恋も愛もあったもんじゃありまん。 今のジュリアは、亡き師匠ジミー(マイケル・ガンボン)の教えあってこその存在。 ことある毎に、脳裏に浮かぶはジミーの幻想。 彼の幻は、今でも女優はかくあるべきと説教をするのですが、それはまぎれもなくジュリアが自分に振るうムチ。努力する姿に他ならないのでした。 可笑しくも悲しい、女優の性です。 ジュリアと息子ロジャー(トム・スターリッジ) 年下の恋人トム 波乱万丈なジュリアの豪快な生き方は、どんなに意地悪でも憎めない。 アネット・ベニングの素敵な笑顔にすっかりノセられ、ラストまであっと言う間でした。 序盤、息子ほど歳の離れた青年トムに恋をして、不倫を重ねていく彼女が最悪で、どうなることかと思います。 ところが、彼女の人生すべて嘘! 人生すべてがお芝居だと分かってからが面白い! 演じて演じて演じまくって、恋だって夫婦円満だって、なんだって自分のものにしてしまうジュリアがグングン好きになっていきました。 ショービジネスの世界は現実もだいたいこうなのでしょうか~ ジュリア意外も、みな狸。 夫の策略、トムの策略、ジュリアからトムを奪う新人女優エイビス(ルーシー・パンチ)の策略・・・ 次々、展開していく化かし合いに、一喜一憂騙されました。 そして一番の狸は、なにを隠そうジュリア夫婦の息子ロジャーだったりするのだから「巧い!」とついつい声が出てしまいます。 演じた若手新人トム・スターリッジの、的を獲た演技素晴らしいですね~ 彼女のように、人生すべてを注ぎ込めるものがあったら幸せ。 他人にどう思われようと構わない、そんな身勝手な人たちだけれど愛しい。 愛も恋もない舞台人の物語かと思っていたら、ラストでふと確かにあったと気づかされる、ジュリア一家の深い絆に、心底驚かされ羨ましくなるのでした。 久しぶりに劇場で観たせいもあると思いますが、とても楽しめました♪ 監督 イシュトヴァン・サボー 製作 ロバート・ラントス 原作 サマセット・モーム 『劇場』 脚本 ロナルド・ハーウッド 撮影 ラホス・コルタイ 音楽 マイケル・ダナ 出演 アネット・ベニング 、ジェレミー・アイアンズ マイケル・ガンボン 、ブルース・グリーンウッド ミリアム・マーゴリーズ (カラー/104分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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