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行きかふ人も又

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2007.11.15
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カテゴリ:日本映画

東京で写真家として成功し、自由奔放に生きる弟・猛(オダギリ)は、母親の一周忌に久々に帰郷した。
父と共にガソリンスタンドを経営する兄・稔(香川)と再会し、翌日、兄弟はガソリンスタンドで働く、幼なじみの智恵子と3人で近くの渓谷へ出かけた。
ところが、川に架かる細い吊り橋で、智恵子が眼下の渓流へと落下・・・数日後“自分が突き落とした”と稔は自供する。
法廷で語られていく真実とは―――



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




  性格の違う兄弟が、相手そして自分の本質と向き合った時に、初めて痛々しくも純粋な結末に出会えます。
親子の間で繰り返されていく、兄弟の不仲が悲しかった。
いままで本音を隠してきた稔と猛のように、人は本音を隠しながら、ある程度人と付き合っているものなのでしょう。
それは親兄弟姉妹に対してもそうで、気づいているけど、知らないフリをしているような気がします。


母親の一周忌に、久しぶりの帰省をした猛。
なりゆきで渓流へ行くとにさえならなければ、事件は起こっていなかった。
何十年分もの思いが不意に飛び出すと、それは考えられないような行動を伴って、大きな犠牲を生みながら、周りに及んでいきました。


真相を明らかにするタイミングもあわせて、よく練られた物語だと思います。
後半、舞台が法廷に変わってからも、チクチクと継続するなにかがありました。
映像には、腰の据わった居心地よさがあったし、なにより個性派の役者さんがそれぞれによくて。
香川照之はあまりに巧く、オダギリジョーの魅力を時々霞ませるほどでした。
役者さんの巧さって、こういうことをいうのでしょうね。



猛の存在は、悲しいです。
これだけの過ちを犯さなければ、わからないその存在が。
田舎の親兄弟の生き方を忌み嫌い、逃げ出すように都会にきて、快楽もお金も得ている。
それなのに満足できない。
奪うだけの生き方は、都会の暗部とあわせて、現代人の悪いところの寄せ集めのようです。
反面、田舎の兄は、完全なる善人で...どこをどう見ても溝がある。
その溝が埋められるのだとすれば、それはやっぱり傷ついてでも、自分の本質をさらけ出し合って、相手を知るしかないのでしょうか。
その後に、やっぱり溝が残って、完全に修復がきかなくなるか、この兄弟のようになるかは、きっと人それぞれ。





監督・脚本  西川美和
製作  川城和実 、重延浩 、八木ケ谷昭次
撮影  高瀬比呂志
音楽  カリフラワーズ
出演  オダギリジョー 、香川照之 、伊武雅刀 、新井浩文

(カラー/119分)








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Last updated  2007.12.01 08:17:16
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