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テーマ:本のある暮らし(3316)
カテゴリ:本
図書館で借りた本。偶然タイトルが蛇つながりだった二冊です。 中身はまったく別の趣。 「蛇にピアス」は若者らしい、冷たく鋭い、洋の雰囲気。 「蛇を踏む」は落ち着いた語り口で、ほのぼのした温かさがある、和の雰囲気。 まったくちがう作品だけど、二冊を読み終わった後に思ったのは、作家は多分に不健康なのだな、でした。 踏むの川上弘美さんは、あとがきで面白いことを書いています。 “これはうそばなし。ヨガもキャンプもせず、さかあがりもしないで、うその世界であそぶ。うそをつくなといわれたら死んでしまいます” ―――と、こんなようなこと。 ウソって、冗談と似たとろがあって、使いかたによっては円滑剤にもなりうる。 ウソの世界で戯れるのは、創作家の大事なお仕事でもあるのでしょう。 いかに異様でも奇妙でも、面白おかしく読み進めて、作家の妄想世界に笑う自分がいました。 ピアスのほうの金原ひとみさんは、ちょっと違う。 生きる実感を感じるものが、より肉体に近いところにある人の物語でした。 下手すると、命を縮めてしまうような、痛い生き方。 きっと若い私は、ピアス的な生き方で、今は「踏む」の生き方になっていると思う。 だから、より楽しめたのは「蛇を踏む」でした。 ‘うそばなし’の短編集、星新一さんのウソ世界を楽しむ感覚に似ていました。 取り留めのない、決まりなんてない、だから簡単に生まれてきた物語のように感じてしまうけれど、どうなのだろう。 読むのに力を要しない、ならば力を要せずナチュラルな形で、これらの作品は生まれてくるのだろうか。 川上さんや星さんが苦悩した様、あまり想像できません。 小説を読むとき、「」台詞に、意識がいきます。 佐々木丸美作品は、とにかく台詞が簡潔甘美。スマートで大好き。どこをとってもお気に入りだけれど、会話のシーンにとくに丸美さんを感じています。 川上弘美さんの「センセイの鞄」を読んだときは、台詞や「」はないでも、独り語りが好きになりました。 それでこの方の本、また読みたいな~と思っていました。 金原ひとみさんは初めて読んでみました。処女作とは思えない、そつがない、巧い。 不登校で学校へはほとんど行ってないそうですが、これだけの才能があるなら、学校いってる行ってないは関係ないですね。 ただ台詞は、私好みのそれとは違っていました。 こちらも偶然だけれど、どちらも芥川賞受賞作品です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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