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カテゴリ:本
これは面白い!愛を感じますね~。 いろんな雑誌でのお二方の対話は、1976年『キネマ旬報』から始まり、1984年『現代小説』の‘84年度洋画ベストテンでおわります。 全部あわせたら300~400近い映画タイトルが登場しているのではないでしょうか。 前半話題に上る映画は古く、知らない作品ばかりですが、ただ読んでいるだけでも楽しいからよし!(大半は現在観られない映画の話だった) 淀川さんは、来年生誕100年を迎えられる1909年の生まれ。 池波さんは1920年の生まれ。御二方ともすでに永眠されています。 対話のなかで淀川さんは「もう死ぬ」と何べんも仰っていて、池波さんが「私も死ぬ」というと「あんたはまだ来たらダメよ」なんて(笑)冗談ばかりですが・・・ 結局は池波さん、淀川さんより8年も早く逝かれたんですね。 映画の創生期から、ずっと映画を観続けてきた人の言葉は、どんな映画評とも違った魅力でいっぱいです。 詳しいのみならず、思い入れの深さも背景もわかった上で、映画を達観できることが素晴らしい。 どんな映画にも、なにか答えることができたら、誰とでも話ができる。話したい作品について、必ず相手が応えてくれる二人の関係は羨ましいほど。 年月が経てば映画の数はうなぎ上り。たとえば100年後に生まれる子どもたちは、淘汰されて残った名画を拾うようにして観ていくんだろうな。 いま私が観ているのより、もっと淘汰されて。 そう考えたら、生まれたばかりの映画と一緒に生きてこられた淀川さんや池波さんが、ほんとうに羨ましく思えます。 こんなラッキーな御仁は、もう生まれない。 驚くほどいっぱいの映画をごらんになってきた二人は、会話も粋でした。 淀川さんの独特な口調がそのまま文字になっていて、ある意味すごい(笑) 脈絡のなさというか、助詞・助動詞間違ってませんか? と思うんだけどそれがないと淀川さんじゃなくなっちゃう。 漫才でもされてるのかという会話は、一読の価値ありな一冊でした。 とくに笑った箇所をおひとつ。 淀川 「あなた夢ご覧になる?」 池波 「ほとんど見ますね。見ない日はないくらい」 淀川 「あ、そうですか。あんたのような健康な人が」 池波 「いや、よく夢は不健康のもととか言うでしょ、ウソなんですよ。健康にはさしさわりないんです」 淀川 「まあ、そうですか。あなたピンク色だね、顔がきれいだねえ、まアほんとうに(笑)」 池波 「淀川さんもピンク色ですよ」 淀川 「いいえ、私は死期が迫ってるから」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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