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カテゴリ:本
おともだちのアネモネさんがいつかご紹介してらした中村うさぎさん。 偶然見つけたので、読んでみました。 業の深い人と聞いていたけど、ほんとに煩悩の深き人。いかにしてそんな自分が作られたのかを、考察した一連の章がおもしろかった。 キリスト教の教えを信仰していて、なおかつ日本に住み仏教が身近にある人は、同じようにして苦しむのだなぁ。そんなことを思った。 苦しんではいないけど遠藤周作さんや、キリスト教徒じゃないけれど河合隼雄さんも、個人のあり方の違いに目を向けていたっけ。キリストと仏教とを同時に一人の心身に保ち続けるのは、本当に難しいんだ。心のバランスを崩していった著者の迫真の経歴を、勉強させてもらいながら読んだ。 自身を愚者と呼ぶ、赤裸々な告白文のようであって、実は心理学の本としても読める。うさぎさんが体当たりで出した答えは、どれも真摯な真実だと思う。 苦手かもしれないけど、嫌いにはなれない人。こんなイタイ生き方はたしかに命を縮めてしまうよね・・。 今の夫との関係も、かなり夫婦関係の真をついている。綺麗事は書かない。真似できるような選択ではないけれど、そんじょそこらにはない安定を手にしてこそ言える言葉ばかりだ。 耳の痛い言葉も多かったけど。 不可欠なのは赦しである―――そういい切ったうさぎさんには共感した。 これは夫婦、友達、家族、他者、すべての人にそうあって、すべての人がそうであるなら、それはそれは素晴らしいけど。赦す行為、じぶんはどれくらいできてるものやら。 カーペンターズに関する独自の読み解きも興味深かった。憶測の域は出ないにしても見事だった。心って本当に爆弾を抱えやすい一部分なんだと、改めて思う。 カレンが陥った状態は、誰がなってもおかしくないものだし、人ごとではないし。そんな風に動いていく精神について、心について、なおのこと気になりわかりたいと思う自分がいる。 どんなリアルな現実世界の棘にも、ちゃんと理由はあるんだよね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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