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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:ポーランド映画
(あらすじ) 43年ごろのナチス・ドイツ占領下のワルシャワ近郊を舞台に、仲間同士の遊びにスリルを味わっていた少年たちが、次第に状況に目覚め、抵抗運動に加わっていく姿を描く―――。 ワイダの代表作である初期の『世代』『地下水道』『灰とダイヤモンド』は抵抗三部作と言われるそう。 長編デビュー作であるこちらにもすでに、若者たちの青春と抵抗、挫折と可能性という、3作共通のテーマがしっかり描かれている。どの作品も好き。 ドイツ軍の貨物列車から石炭を盗もうとしたスタフは、失敗して友人を亡くす。 逃げ出して辿り着いたある居酒屋で、木工所で働く職人に出会った彼は、見習工として工場に雇われることになる。 夜間通うようになったカトリック学校で、スタフは初めて抵抗運動に関するアジテーション演説を聞き、演説していた少女・ドロタに惹かれて地下組織へと入るのだったが・・・。 ポーランドの地下活動もの映画の魅力は、緊迫感はもちろんのこと、状況を自分たちの手で変えようとする、強力なエネルギーに溢れているところにある。 敵はあまりに大きく、あまりに強く、残酷だというのに、立ち上がって戦う強靭な力。 この時代この国に生きて、命を懸けて時代と戦った人々の勇気には敬服するばかり。 ポーランド映画馴染みの役者さんがたくさん出演している。一番後ろの少年はポランスキー 若者らしい無鉄砲と、異性への憧れと、使命感と。精一杯にいまを生きる主人公たちの生が眩しい。 時代背景が怖ろしいからこそ輝く命の灯火は、ワイダの三部作のなかに燦然と輝いて描かれている。 本作ではより未来に希望の余韻を残した最後だ。 指導者として尊敬し、同志として親しみ、ひとりの女性として愛していたドロタとの、悲劇的な別れがやってきたとしても、悲しみで立ち止まってなどいられない。 時代の荒波にのまれて、抵抗せずにいることなど、もうスタフにはできない・・・。 余韻として残った希望は、1944年を描いた『地下水道』、1945年を描いた『灰とダイヤモンド』へ継がっていく。 たくさんの苦しみを経て、いつかポーランドに平和がきたことを思うとき、そのワンシーン・ワンシーンが心に残る。やっぱり抵抗三部作は好きだ。 監督 アンジェイ・ワイダ 原作・脚本 ボフダン・チェシコ 撮影 イエジー・リップマン 音楽 アンジェイ・マルコフスキ 出演 タデウシュ・ウォムニッキ ウルスラ・モジンスカ ズビグニエフ・チブルスキー ロマン・ポランスキー タデウシュ・ヤンツァー (モノクロ/88分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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