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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:日本映画
オリンピックといえば今年、北京オリンピックが開催されたばかり。 過度な報道に辟易しつつ、期間中ほとんどTV観戦せずに過ごした私は、はっきりいってオリンピックへの思い入れゼロでしたが、この映画はとっても面白かった。 タイトルは知っていたけれど、市川崑監督とわからなければ、きっと観ていなかった作品です。 1964年、約半世紀前の日本が、世界の様子が、逐一おもしろかった。 今からでは想像つかないほど、まだ時代は進んでいなくて、ボロボロのユニフォーム、照明の暗さ、ヨレヨレのゼッケン、オリンピックレコード・・・いろんなところから歴史を感じながら観る。 ただ驚きがあるからいいのじゃなく、オリンピックを追うカメラが相当素晴らしいのだ。 全体像から、いち選手に及ぶまで、確かな視点で描かれるのは、市川崑のスタイルが確立している証拠。 象徴的な聖火、天皇、国旗といった被写体は、当時の時代背景を映しだす鏡のように、選手たちに負けないほどの存在感を示していた。 近年のオリンピックとの違いはなんだろう。この見応え。 強い希望や、選手たちへ向ける観客の熱のこもったのまなざしは、まだ見ぬ限界点への期待だったのかもしれない。 限界をむかえ始めた近年だから、新改良した水着や靴や、薬なんかにはしり、頼るよりほかなくなっているんだろうか。スポーツ選手がアイドル扱いされるような時代だもの。 誇り高きアスリートが集まって、報道による過度な煽りや演出が減れば、きっとオリンピックはいいものに戻るのかもしれないけれど、それはもう無理のような気がする。 美しく飽きないカメラワークも、効果的なスローモーションも、素晴らしかった。人類の祭典と呼ぶに相応しい、一時代の煌めき。 3時間弱の長尺だれど、観て損のない良い映画でした。 人類は進歩発展しながら、大きな落し物をしてきてしまったのかもしれない。 総監督 市川崑 脚本 市川崑 和田夏十 白坂依志夫 谷川俊太郎 撮影 林田重男 宮川一夫 中村謹司 田中正 ナレーター 三國一朗 (カラー/170分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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