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カテゴリ:日本映画
夏目漱石による晩年の傑作『こころ』を、敬愛する監督・市川崑が映画化したドラマ。 市川作品は文芸ものがとくに好きで、原作の世界そのままの映像化がうれしい。 本作も小説と変わらぬ展開となっていた。 先生の過去の秘密とは、同じ女性を愛した親友・梶への裏切りだった。 梶にとられることを恐れて、抜けがけのように結婚の約束をとりつけた矢先、梶は自殺し、親友を追い込んだ罪悪感に苦しむ先生は、愛する奥さんとのその後の人生までを台無しにしながら生きてきた。 神経を病んだ先生が、唯一過去を告白する相手に選んだ“ぼく”を通して過ぎた真実が明かされるストーリーは、物憂く頽廃的な匂いがする。 先生と梶、先生とぼく――ここに同性愛のごとき関係が絡むからこそ、奥さんの不幸が深くて悲しい。 決心して逝った先生は最後まで利己的で、すべてを知ったうえ遺された“ぼく”のこれからは果たしてどうなるのだろう。 原作を読んだ時のようにふと案じてしまった。 監督 市川崑 原作 夏目漱石 脚本 猪俣勝人 長谷部慶治 音楽 大木正夫 出演 森雅之 新珠三千代 三橋達也 安井昌二 (カラー/122分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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