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カテゴリ:日本映画
以前読んで好きになった三島由紀夫の『金閣寺』を、 敬愛する市川崑が映画化した必見の一本。お気に入りブログのMinicarさんからもおすすめいただきました。 市川監督の手がけた文芸作品には、いまのところ外れがない。こちらも原作どおりで、だらだらとせず、見事な仕上がりになっている。 吃音症で複雑な内面を持った主人公の溝口を演じたのは、8代目市川雷蔵。 このたびの収穫は、市川雷蔵という役者を知ったことだけでも、大きいかも。 往年の大映の大スターで、37歳で夭折。短い生涯で158本の映画に出演したという方。他の出演作がさらなる楽しみとなった。 溝口の友人で内反足の男・戸刈は若き日の仲代達矢が演じている。彼が述べ立てる真理の数々は、原作よりも解りやすく端的に脚本化されていて、本当に巧いとしか言いようがなかった。 原作の丹念で美しい文体や言葉が、たった1時間半の映像に化けるなんて、唸らざるをえないし、画の力は圧倒的だ! 当時の役者が立派だからといえばそれまで。やはりこの年代、巨匠たちがいた時代は、日本映画の黄金期だったのだなぁ。 ラストが本とちょっと違っている。 原作では―― 一ト仕事を終へて一服してゐる人がよくさう思ふやうに、生きようと私は思つた。 しかし映画では自ら命を絶ってしまうのだ。 原作の完成度が高すぎて、完璧な映画化ができないと判断した監督は、寺の名前などを変えたオリジナル脚本で映像化することにしたのだという。 タイトルが炎上なのもそのせい。 この重厚な物語の最後の一節が、生きようとするものだったので、余韻はじゃっかん変わってくるけれど期待どおりの良作だった。 監督 市川崑 原作 三島由紀夫 「金閣寺」 脚本 和田夏十 長谷部慶治 音楽 黛敏郎 出演 市川雷蔵 仲代達矢 中村鴈治郎 北林谷栄 (モノクロ/99分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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