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行きかふ人も又

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2008.12.19
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 なんとも不思議な世界だった。アル中でニコチン中毒という不健康な稲垣足穂の、エッセイと小説を9編収録。
これが1920年代の作品だとは、にわかに信じがたい。
現代語の文庫で読んでしまったのが、とてももったいなかった。




「一千一秒物語」「黄漠奇聞」「チョコレット」「天体嗜好症」「星を売る店」
「弥勒」「彼等」「美のはかなさ」「A感覚とV感覚」


一話目の「一千一秒物語」にまず驚く。一遍があまりに短い!
ショートショートの神様・星新一も認める独創性と完成度。ペースに慣れるまで時間が掛かってしまって、後からじんわり懐かしさのように面白かったことを思い出してきた。
ものすごくシュールな小説、次回は旧仮名遣いで読まなければと思った。

あいだの「黄漠奇聞」~「弥勒」までは、なかなか楽しく読んだ。
そして「美のはかなさ」「A感覚とV感覚」でまた若干わからなくなった。(笑)
このエッセイは難しい。
A感覚V感覚も、真面目に論じられている内容を消化する頭脳は私にないけれど、澁澤龍彦やら三島由紀夫やらが出てくるだけで、ノーマルを逸したところにあるべきものなんだろうとは思われる。

掴みどころのむつかしい作家さんだけど、なんとユーモラスな人だろう。
この一冊に趣の違う顔が幾つもあって、人間としても興味を惹かれた。
本文のなかには、目下気になっている人物の名が幾人も登場してきた。
気になるこの当時の御仁たちは、類は友を呼び、交流していたんだなぁと思うと楽しい感じ。
おすすめされてためしに読んでみた足穂作品、気に入りました。



“エーテル”という言葉がみょうに懐かしいのだけれど、どこで聞いたのだろう。
宮沢賢治?星新一?筒井康隆・・・・? 

タルホさんは、映画好きな方だったらしい。古書店で古典映画に関する面白そうな中身の本もみつけた。
装丁がいい味だったので、いつか買ってきて読みたいと思った。







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Last updated  2008.12.21 11:30:04
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