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行きかふ人も又

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2009.02.07
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カテゴリ:

 ひさしぶりに筒井康隆作品を読む。
この方の皮肉は超ど級で、下ネタ全開で、しばらくは手にとっていなかったのだけれど、これはすごくおもしろかった。

大学の内部をそうとうシニカルに描きつつ、主人公が合間に、大学で文学について講義するという形式。
その講義が淡々とした、ちょっとおバカを交えつつの語り口調で綴られるので、肩の凝るところのないのがいい。
ただ、だんだんと講義の内容も口調もまじめになっていくので、ポスト構造主義まできたあたりではマジ講義に・・・わからない。
それ以上にわからないのはやはり現象学というものだった。

文学批評についてとはいえ、映画批評にも同じことがいえそうに思えてきた。
批評する者、される者。はじめに言葉ありきなのか・・・作家ありきなのか・・・難しいことはわからないけれど、生むほうの側と批評する方の側のせめぎあいみたいなものがおもしろい。
著者はもちろん生むほうだから、そっちの立場としての本音も見え隠れする。

教授たちが繰り広げるアナーキーな世界は一読の価値あり。?
メタフィクションというらしい、‘ウソ’とまではいかなくても過言気味な内容はついつい笑ってしまうこと請け合いだと思う。



 (あらすじ) 唯野仁は早治大学英米文学科の名物教授にして、実は隠れて小説を発表している新進作家。
グロテスクな日常を乗り切りながら、講義では印象批評からポスト構造主義まで壮観な文学理論を展開して行くのであったが…。
「大学」と「文学」という二つの制度=権力に挑んだ衝撃の長篇小説。




 





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Last updated  2009.02.09 22:02:25
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