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カテゴリ:日本映画
小津監督のサイレント期の名作。 郊外に引っ越してきたサラリーマン一家の小学生兄弟は、いじめっ子たちをやっつけ早々にガキ大将になるが。一番偉いと思っていた父親が、会社の重役=友達の親にペコペコするところを見て理解できずに憤慨してしまうのだった――――。 子どもの社会と大人の社会が、並んで描かれるところがおもしろい。 子どもの目線から見た大人たちの世界は、理不尽で理解しがたいものがあるんだろうなぁ。 いつも威厳ある父の、まさかの場面を目撃してしまった兄弟は、情けなくてなかなか怒りはおさまらない。 子どもたちは体を張って上下関係を変えていくのに、お父さんにはそれができない。 彼らにすれば情けなくて仕方がない。 けれど両親は、いまは怒っている我が子だって、いつかはそのルールに従う大人になることを知っているから、情けなくても、哀しくても、どこか微笑ましいのだ。 童話のように親しみやすい語り口でありながら、ことの真理をしっかりついた作品だった。 可笑しくもじんわりと心に沁みる。 上役の趣味が活動写真だというのもいい。撮ったフィルムの上映会を開けば、そこに登場するはユーモア。 はじめは‘厳格な父’として登場したお父さんの、おどけてヘン顔をしまくっている姿には笑いを禁じえない。 子どもたちにはショックな姿なんだけれど、これは面白すぎ。 純粋なサイレント映画を久しぶりに観た気がした。 当時は音楽伴奏や活弁がついていたのかもしれないけれど、DVDでみる今では本当に無音。鑑賞環境によっては、映画の外の音がうるさくて仕方ない。 音をイメージして、味のある字幕をたのしんで、それでも音楽のありがたみをしみじみ感じた古典の名作だった。 監督 /小津安二郎 原案 / ゼェームス・槇 (小津安二郎) 出演 /斎藤達雄 吉川満子 菅原秀雄 突貫小僧 坂本武 (モノクロ/無声/91分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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