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行きかふ人も又

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2009.02.25
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 武者小路実篤(1885年~1976年)に思い入れがあるわけでなく、ただ先日小樽文学館にて、偶然見つけていただいてきた、60年以上前の古い本。
年代を感じさせる、味のある装丁と表紙が気に入ったもの。
中身をぱらぱらとめくってみたら、存外に肩の凝らない文体が読みやすくて、思いがけず最後まで読んでしまった。

白樺派――聞いたことあるような。
wikiによれば・・・人間の生命を高らかに歌い、理想主義・人道主義・個人主義的な作品を制作した人たち。
昭和21年に発行された、戦後まもない名残をふんだんに感じる中身だった。
人間肯定や理想主義や、たしかに今ではきれい事に聞こえてしまうような言葉が列挙されているけれど、こういうのが求められた時代もあったんだ、たぶん。

武者小路氏が立ち上げたという新しき村は財団法人として、埼玉県に今でも存在しているそうな。
精神に基いた世界――それがどんなものか想像もつかないけれど、ユートピアという言葉が似合うような村ではなさそうだ。
だって、現代の日本が抱えている尽きない問題の数々は、この本なのかで語られている通りに、日本が発展しなかった証拠でもあるし、日本のここが素晴らしい!という賛美はいちいち行き過ぎて感じられた。読んでる方が恥ずかしくなてきた。
近視眼的、といわれても仕方ないなぁ、これならと思う。
時代に触れた感じは心地よかったが、最後のほうでは宗教のようであるなぁとも感じた、読みやすい本だった。

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Last updated  2009.02.26 17:26:41
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