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カテゴリ:ポーランド映画
ある一人の青年が衝動殺人に至り、極刑を執行されるまでを克明に追って描いた衝撃作。 この第五話も『殺人に関する短いフィルム』として編集し直され、劇場公開されています。 犯罪を犯した青年の物語と、そして彼を弁護することになった弁護士の葛藤を描きます。 犯罪を犯すまでの経緯はなにも語らずに、ただ実行までの様子を淡々と見つめた視線は、シャープで冷酷です。 けして珍しくはない犯罪ものだけれど、他のどれとも違うのは、ストレートに死刑に対する是非を考えさせられることでしょうか。 弁護の余地なしの罪であっても、極刑の判決は新たな死を生みます。 それは、青年が処刑される時。 職員たちが揃って彼を押さえつけ、首に縄をかけるシーンは殺人にしか見えません。 新米弁護士にとってそれは、身を切る様な辛さでしょう。 刑が確定してから、唯一心開かれた者として、青年を支えた弁護士の苦悩、交わされる言葉が悲痛に届きました。 法律は決まっていてどうにもならないし、たしかに非情な犯罪を犯したのは事実で、青年は罪を償わなければならない。 でも、果たしてその償い方が死刑というものであっていいのか、人の命を奪う行為を、冷めた描写で見ながら、初めて疑問に思いました。 いままでは、それで当然と思ってきたのに、、。 日本でも死刑制度問題はずっと話し合われてきて、時には、目だった動きとなって浮かび上がることもあるけれど、今のところ変わる気配はありません。 法務大臣が変わり、執行される数が明らかに増えている現状を知ると、少しは「ほんとにいいの?」という気にもなるけれど、できれば関わりたくないテーマでした。 そんな自分が、はっきりと死刑はダメな気がする、そう思うなんて驚きです。 むつかしいテーマです、、、。 『ある愛に関する物語』に並んでこちらも、シリーズの中の一作品としてあるのではもったいないくらい、良質なドラマでありました。 監督 クシシュトフ・キエシロフスキ 脚本 クシシュトフ・キエシロフスキ クシシュトフ・ピエシェヴィッチ 音楽 ズビグニエフ・プレイスネル 出演 ミロスワフ・バカ クシシュトフ・グロビシュ (カラー/567分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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