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テーマ:■オンラインレンタル■(148)
カテゴリ:日本映画
お世話になっているアネモネさんが、先日ブログでおすすめされていた作品です。 さっそくDISCASでレンタルしてみました。 この映画、良かったです。 私的に好きな男優、トヨエツ&トオルコンビなのがツボだったし、なにより、初めて女優さんとして認識した小池栄子が、驚くほど存在感あるいい演技をしていました。 都内の会社に勤める遠藤京子(小池)は、家族とは疎遠で友達もいない、孤独な日々を送ってきた。 ある日彼女は、無差別殺人を犯した男・坂口秋生(豊川)が、TVの生中継で逮捕される様子を偶然目にする。 その表情に自分と同じ孤独と絶望感を見いだした京子は、仕事も辞めて、坂口に関する情報を集め、弁護士の長谷川(中村)に彼への差し入れを取り次いでほしいと依頼するのだったが―――。 「誰にも理解されない社会のはみ出し者で、損なことばかり押し付けられて、自殺でもしそうな陰気な人間に見られるの・・・」京子はそう言います。 たしかに彼女や坂口は、誰にも理解されないで、愛されないで生きてきたかもしれない。 けど、そういう人々がみんな、犯罪者になるわけではないし、結局は二人の利己に思えてしかたがなかった。 はじめは、残忍な犯罪にも、情状酌量の余地があることを描いた作品なのかと思ったけれど、違ってた。 間違いは間違い、罪は罪。理解できないものは理解できないのだ。 公判を傍聴し、塀の外から差し入れを続け、病的なまでにその存在を求め続けた京子。 少しずつ彼女の気持ちに応え始める坂口は、純粋に彼女を愛したのかもしれない。 けれど結局は再生の未来を紡ぐことはできなかった、、。 幸せな一家を惨殺した坂口の罪も、京子の犯す罪も、無意味な空しい暴力で終わってしまう。 ふたりは、終いまで、その深い孤独を癒されることなく、歪んだ愛がかなしい。 キーパーソンは、ふたりの間に立たされる弁護士の長谷川だ。 彼は京子に静かに惹かれながら、坂口にのめりこんでいく彼女を心から心配する。 徹底して黙秘を続ける坂口のことを、できる限り理解をしようと努力する。 この誠実な男は、確実に犯罪者の心の岸辺近くまで、下りていくことができた。 けれどその行く手を再び阻むのは、第二の犯罪。 残酷なまでに救いは訪れない。 犯罪者を描いた面も、犯罪者予備軍を描いた面も、倒錯した純愛を描いた面も、胸にクサリと刺さる、なにか痛みを伴う衝撃があって、良かった。 できるならもう少し、長谷川と京子との間に瑞々しいエピソードがあればよかったな。 そしたら、ラストの接吻が、もう少し意味あるものに見えたのかもしれない。 あの接吻にどんな意味があったのか、正直私にははっきりと見えてこなかったのです。 タイトルにもなった接吻の相手が、まさかの展開で、それがよかっただけに残念です。 監督 万田邦敏 脚本 万田珠実 万田邦敏 音楽 長嶌寛幸 出演 小池栄子 豊川悦司 仲村トオル (カラー/108分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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