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2009.09.16
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カテゴリ:日本映画

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 随筆家・内田百けんとその門下生たちとの交流を、ほのぼのと描いたドラマ。
とにかく登場人物みんなが、気持ちいいほど高らかに笑う。清々しくて、愉快な生き方がステキだ。
百けん氏の人柄を窺い知れば微笑ましくて、いつの間にか愛着を持って見てしまう。

手に取ったことのある『第二阿房列車』『続 百鬼園随筆』からの印象では、百けん氏はユーモラスで、不機嫌で、わがままで。計画通りにことが進まないと安心できない小心者。
ここには、そのまんまの百けんさんがいる。

けして欠点ではくなくて、一長一短な個性として。

タイトルは、還暦を迎えたのを機に開かれるようになった『摩阿陀会(まあだかい)』から取られている。
「まだ死なないのかい?」の意味で「ま~あだかい?」と問われると、百けんさんは「ま~あだだよ!」と答えていたのだそうだ。
みんな酒好き、大盛り上がりの宴は、一緒になって浮かれてしまうほどに楽しい。

いつでも氏を慕い、賑やかに取り巻いていた門下生たちの姿が、ほんとうに清々しかった。


度々家を訪問する門下生たち。その後の、戦争による空襲、奥さんとの仲睦まじい三畳一間の暮らし、「摩阿陀会」での大騒ぎ、、、。最後まで飽きさせないエピソードが続く。
黒澤明の視線はずっと温かで、この大らかな作品が、巨匠の遺作であることは、出来過ぎたように流石だと思う。

終盤での迷い猫・ノラのエピソードがいい。随筆『ノラや』を生んだ、愛猫の行方不明事件は、先に随筆を読んでから見ていれば、もっと楽しめたかもしれないと思うと残念。
『ノラや』をはじめ、他の作品もまたぜひ読みたくなってしまった。



監督・脚本・編集/ 黒澤明
原作/ 内田百けん
音楽/ 池辺晋一郎
助監督/ 小泉堯史
出演/ 松村達雄  香川京子  井川比佐志  所ジョージ

(カラー/134分)






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Last updated  2009.09.18 17:26:06
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