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テーマ:本のある暮らし(3315)
カテゴリ:本
夢野 久作(1889~1936) 福岡県出身の小説家。日本右翼の大物、杉山茂丸の長男として生まれた。 ジャンルはSF、探偵もの、幻想文学、ホラーなど多岐に渡る。 代表作『ドグラ・マグラ』は日本探偵小説三大奇書の一つに数えられている。 はじめての夢野久作作品です。偶然『ドグラ・マグラ』の紹介文に出会い、興味が湧いて、さっそく古本屋で著作を探してみました。 表題作の他に、『童貞』『けむりを吐かぬ煙突』『女坊主』を収録。 『少女地獄』、、ってタイトルからビビってしまいますが(笑) 中身は構えたほどではありませんでした。 昭和11年というから、古い古い作品です。 3話に分かれた構成で、それぞれ、虚言癖の少女、サディズムの色魔に抵抗できず命を落とす少女、醜貌ゆえに阻害されづづけた少女、らが主人公。 どれも書簡体という、作者の得意としたスタイルで書かれています。 3タイトルそれぞれに映画化がされていますが、大概はピンク映画という、、やっぱりそうなっちゃいます? ただし『ドクラ・マグラ』だけは評判もまずまずなので、いつか観る機会があるかもしれません。 全部の物語が、男女の宿命的な出会いからはじまって、異様な様相を呈していく――。 そこに耽美さ蠱惑的な要素が合わさると、エロチシズムのある独特な世界が広がっていくのでした。 異様とはいっても、色んなもので免疫をつけてしまった現代には、驚きはないかもしれない。でも、これを書いていた夢野久作氏の大物具合は、ニュアンスから感じ取ることができます。 私的には『少女地獄』の第一話『何でも無い』という物語が好き。 病的なほどの虚言癖ある少女に、医院を乗っ取られかけた、耳鼻科医の手簡で綴られるお話。次第にことの真実が暴露されていくと、驚かされ、ちょっと寒気がするようで、、。こんな少女、現実にも居そうだからこそ、ゾクっとする面白さがあるのですね。 しかも彼女は、きっと死んでないんですから、、。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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