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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:日本映画
『かもめ食堂』『めがね』とは、またひと味違った趣の作品。 小林聡美、もたいまさこは相変わらずだけれど、作品の持つものが根本的に、今までとはちょっと違う。 4年前に自分と祖母を残して家を出た母・京子(小林)に会うため、女子大生のさよ(伽奈)は、タイのチェンマイを訪れた。 母が働くゲストハウスには、オーナーの菊子(もたい)のほか、ビーという名のタイ人少年や、日本人青年・市尾(加瀬)らが集って、とても賑やか。 しかし、4年ぶりに母と再会したさよは、その暮らしを素直に受入れられないのだった―――。 フィンランドを舞台にした『かもめ食堂』も、南国ムード漂う与那国島の『めがね』も、ほのぼのと好きなことをやって生きる、自由さと暮らしの味わいをたっぷりに感じた。 一方、この『プール』では好きなことだけやってきた母と、日本に取り残された娘のぎくしゃくした関係が描かれる。 舞台はタイ。いわずと知れた仏教国で、物語は、さりげない諸行無常の感を漂わせている。 人生を謳歌する人々を描いてきた、これまでとは違い、楽しげに生きても、常に儚さを思わせるのは仏教思想が根本にあるようで。これはこれで心地良い。 多少ぎこちない本編は、荻上直子監督ほど洗練された、スマートな脱力感はないけれど、同じように食べ物のビジュアルには凝っている。ただ、食事シーンを上手に挟まないのが、すごくもったいなく残念な感じだった。 美味しく食べてこそ、なんぼなのに! 家(内)と外の、自然に繋がった空間はいい。挿入されるステキな歌は潤滑油になっている。 きっとわけあってここにいる市尾も、母親を探している孤児のビーも、病に冒されている菊子も、笑っていても悩み事は色々抱えてるに違いない。 さよだって悩んでいるし、好きなことを自分に素直にやってきた京子だって、なにも考えないはずはない。 京子はどうして、ただの南国ではなく、仏教国「タイ」を選んだのだろう。 人生観から出た答えなら、インドへ行きたいわたしは、彼女の行動を肯定できるかも。 原作はどうかわからないし、本編からはそこまで感じられなかったけれど、涅槃像や僧侶たちをみていると、そこまで背景にある気がしてきてしまうよね。 だからといって、背景云々にかかわらず、面白いからおすすめ、、とは言い難い作品でありました。 監督・脚本/ 大森美香 原作/ 桜沢エリカ 『プール』 撮影/ 谷峰登 音楽/ 金子隆博 出演/ 小林聡美 加瀬亮 伽奈 シッテイチャイ・コンピラ もたいまさこ (カラー/96分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.10.14 23:43:02
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