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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:日本映画
塚本監督、初のオールデジタル作品。 粗い粒子のハードエッジな映像に、「鉄男2」以来の激しいビートが観客の肉体と魂をかきむしる。 腹部から血を流し、身動きできないほど狭いコンクリートの密室で目覚めた男が体験する想像を超えた痛みと恐怖を描く―――。 初期作品に立ち返ったかのような、塚本晋也らしいエグミが懐かしい。 このての作品は、観る側にも、ハードな精神を要求されるけれど、コアなファンにはたまらないタイプの作品でしょう。 49分という短さに、実験的な恐怖映像の洪水。自身はじめてというデジタルカメラは、臨場感たっぷり。 コンクリートの狭い空間で目覚めた男が、凄まじい恐怖と闘いながら、逃げ道を求めてさ迷う・・・真実を知ることになるのは、短くも濃厚な恐怖のあと。 中盤で出会う、同じようにして閉じ込められた女を演じているのは、『TOKYO FIST』に出演していた藤井かほり。塚本作品に、妙に嵌まる女優さんです。 消えていた記憶が甦るとき、目をそむけたくなるような真実が浮かび上がる。 脱力してしまう寂しすぎる結末に思うのは、もしかしたら、これは内面をビジュアル的に表現した、孤独な感情のメタファーなのかな、ということ。 ほとんどが塚本さんの顔面のアップ、しかも痛みと恐怖に歪んだ顔ばかりに、あれほど好きだったくせ、嫌悪感バリバリです、、。 おもしろいと、言いたいけれど、言えない。 謎の立方体に閉じ込められる『CUBE』や、目覚めると理由もわからず捕らえられ、死の恐怖を味わう『SAW ソウ』に、やはりどこか似たところがあります。 2作品とも、『HAZE』の前に製作されていますが。 ただ真似というよりも、塚本流の角度から、話題をよんだ密室ホラーに挑んている印象。 個性だけは負けることなく、血みどろグロさも負けずとも劣らず、単なる視覚的ホラーでない点は、似て非なるものなのかもしれません。 製作・監督・脚本・撮影監督・美術監督・編集/ 塚本晋也 撮影/ 志田貴之 音楽/ 石川忠 出演/ 塚本晋也 藤井かほり 村瀬貴洋 神高貴宏 辻岡正人 (カラー/49分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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