|
テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:多国合作映画
『キッチン・ストーリー』『ホルテンさんのはじめての冒険』が好きな、ノルウェーのベント・ハーメルによる伝記映画。 チャールズ・ブコウスキー(1920-1994)は実在した作家で、いまも多くの著名人にリスペクトされている。 生前のブコウスキーは、なかなかの好人物だったに違いない。 ハーメルの雰囲気作りが上手いせいか、マット・ディロンの演技が良いせいか、そう思える作品に仕上がっている。 超がつくほど不健康、ダメ人間だったわりに長生きして。名声までは残してないけれど、歴史に名は残した。デカダンと放浪と、酒と女と煙草の日々―――。 一度結婚をして、娘がいるけれど、本作ではまだ独り身のブコウスキーだ。 恋人ができても関係は不毛、出会い別れを繰り返し、職を得ても、持ち前の無責任と飲酒ですぐに解雇されてしまう。 そんな彼に、ただ書くことだけは遊離していかなかった。 星の数ほど物書きを生業とする人間はいて、十人十色の個性あれども、書くことと人生の位置づけが、このような人はきっとめずらしいと思う。 贅沢な自由を謳歌しているのが、ある意味すごく羨ましい。(生活スタイルは嫌悪感でいっぱい!) 流されることなく、脅かされることもなく、行き詰れば人の書いたものを読んで安心する―――なんてステキに大胆不敵な個性の塊。彼のようには、だれでもがなれるわけじゃないのだ。 ブコウスキー、モデルの映画といえば『バーフライ』もそう。本人が脚本を手掛けた、こちらもとても好きな作品だ。 監督はバーベット・シュローダー。主演はミッキー・ロークとフェイ・ダナウェイだった。 『酔いどれ詩人―』よりも、大人のムードある、グッとくる作品だった記憶。二人が酒場にいたシーンを思い返すだけで、匂い立つような息づかい感じるおすすめ作。 その点、マット・ディロンとリリ・テイラー コンビの良さはどこかといえば。 、、、、『バーフライ』を前に、なかなか上手い言葉が見つからないけれど、あえていえばヤンチャな哀愁だろうか? ただ、実際に動くブコウスキーをほとんど知らないので、どちらがより近いのかは、既知の方のレビューに頼るとして、目にした限りでは、このマットの演技はかなり本人に近いのだそうだ。 評判もすこぶる良好。 仄かぁに漂うハーメルらしいユーモアの息吹が、もっと欲しくなったけれども、見て損のない作品だった。 監督/ ベント・ハーメル 製作/ ベント・ハーメル ジム・スターク 原作/ チャールズ・ブコウスキー 『勝手に生きろ!』 脚本/ ベント・ハーメル ジム・スターク 撮影/ ジョン・クリスティアン・ローゼンルンド 編集/ パル・ジェンゲンバッハ 音楽/ クリスティン・アスビョルンセン トルド・グスタフセン 出演/ マット・ディロン リリ・テイラー マリサ・トメイ (カラー/94分/アメリカ=ノルウェー合作) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[多国合作映画] カテゴリの最新記事
|