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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:日本映画
2010年、今年の初レビューはこの映画。 松尾スズキ氏による、ゆる~い笑いと、ちょっとだけ真面目な良作です。 《あらすじ》 佐倉明日香はフリーライター。ある日、精神科の閉鎖病棟の中にある、通称<クワイエットルーム>で目が覚めた。 仕事や恋で行き詰まり、薬とアルコールの過剰摂取で、ここに運ばれて来たのだった。自殺の危険性ありと判断された明日香は、監禁状態に置かれることに。 自分はまともだと訴えても信じてもらえず、彼女は外の世界に戻るための方法を必死で探すこととなるのだが―――。 ある日、目覚めると、精神科の閉鎖病棟で手足を拘束されている・・・・・・悪夢。 なにを言っても、看護師たちは、当然のように信じてくれなし、肝心の彼氏(クドカン)は当てにならないし。 無意識とはいえODしたのは事実で、患者の安全を守るための入院はつづく。 明日香がいかにして、この病棟へ運ばれるに至ったかは、本人の記憶が戻るにつれて、明らかになっていくという仕組み。 真実がわかると、これまでおかしさと緩さに笑ってたはずが、ふと笑えなくなる瞬間がくるのだ。 入院患者たちが一様にして、変わり者なのは定石どおり。 濃い大竹しのぶとか(笑)。拒食症のミキを演じた蒼井優も、とても好演している。 ミキと明日香は気が合って、親しくなっていくけれど、患者たちは病気だからここにいる。正常な人物はひとりもいないのだ。 至極まともに見えるミキだって、ほんとうの姿を知れば胸が痛い。彼女の存在は、いろんなことを語っていた。 ふつうは気に止めない、遠い国の知らない人の苦しみを、感受性の強さやゆえに敏感に感じとって、自責の念にとらわれ病気になってしまったのがミキ。 心の病気になる人は感じやすい、それゆえに、回復したとき人間としての可能性も大きい――そう、亡き河合隼雄さんが著書に書いてらしたことを思い出した。 明日香が心を病んだのは、元夫との関係が原因。 すれ違いの結婚生活、結局、夫は自殺して、そのことで自分を責め続けた結果が、徐々に症状となって表れてきた。案外まともに、心の病気についてを扱っているのが、すごく好印象だった。 ちなみに、自殺してしまう元夫役は、我らが塚本晋也。コップを咥えた情けない演技がグッジョブ! 松尾スズキ氏の監督作品を観るのは、これで二度目。どちらも役者さんの魅力が引き出されている印象です。 きっと撮影現場は楽しかったに違いない、そんな本編でありました。 初めてクドカンこと宮藤官九郎がいい男に見えてしまったよ。歯が見えないと。 監督・脚本/ 松尾スズキ 原作/ 松尾スズキ 『クワイエットルームにようこそ』 出演/ 内田有紀 宮藤官九郎 蒼井優 りょう (カラー/118分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.01.02 17:58:15
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