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2010.01.02
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カテゴリ:日本映画

 2010年、今年の初レビューはこの映画。
松尾スズキ氏による、ゆる~い笑いと、ちょっとだけ真面目な良作です。


 《あらすじ》 佐倉明日香はフリーライター。ある日、精神科の閉鎖病棟の中にある、通称<クワイエットルーム>で目が覚めた。
仕事や恋で行き詰まり、薬とアルコールの過剰摂取で、ここに運ばれて来たのだった。自殺の危険性ありと判断された明日香は、監禁状態に置かれることに。
自分はまともだと訴えても信じてもらえず、彼女は外の世界に戻るための方法を必死で探すこととなるのだが―――。

QR_sub03.jpg


ある日、目覚めると、精神科の閉鎖病棟で手足を拘束されている・・・・・・悪夢。
なにを言っても、看護師たちは、当然のように信じてくれなし、肝心の彼氏(クドカン)は当てにならないし。
無意識とはいえODしたのは事実で、患者の安全を守るための入院はつづく。

明日香がいかにして、この病棟へ運ばれるに至ったかは、本人の記憶が戻るにつれて、明らかになっていくという仕組み。
真実がわかると、これまでおかしさと緩さに笑ってたはずが、ふと笑えなくなる瞬間がくるのだ。

QR_sub02.jpg


入院患者たちが一様にして、変わり者なのは定石どおり。
濃い大竹しのぶとか(笑)。拒食症のミキを演じた蒼井優も、とても好演している。
ミキと明日香は気が合って、親しくなっていくけれど、患者たちは病気だからここにいる。正常な人物はひとりもいないのだ。

至極まともに見えるミキだって、ほんとうの姿を知れば胸が痛い。彼女の存在は、いろんなことを語っていた。
ふつうは気に止めない、遠い国の知らない人の苦しみを、感受性の強さやゆえに敏感に感じとって、自責の念にとらわれ病気になってしまったのがミキ。
心の病気になる人は感じやすい、それゆえに、回復したとき人間としての可能性も大きい――そう、亡き河合隼雄さんが著書に書いてらしたことを思い出した。

明日香が心を病んだのは、元夫との関係が原因。
すれ違いの結婚生活、結局、夫は自殺して、そのことで自分を責め続けた結果が、徐々に症状となって表れてきた。案外まともに、心の病気についてを扱っているのが、すごく好印象だった。
ちなみに、自殺してしまう元夫役は、我らが塚本晋也。コップを咥えた情けない演技がグッジョブ!


松尾スズキ氏の監督作品を観るのは、これで二度目。どちらも役者さんの魅力が引き出されている印象です。
きっと撮影現場は楽しかったに違いない、そんな本編でありました。
初めてクドカンこと宮藤官九郎がいい男に見えてしまったよ。歯が見えないと。



●   ●   ●   ●



監督・脚本/ 松尾スズキ
原作/ 松尾スズキ 『クワイエットルームにようこそ』
出演/ 内田有紀  宮藤官九郎  蒼井優  りょう

(カラー/118分)






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Last updated  2010.01.02 17:58:15
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