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行きかふ人も又

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2010.03.19
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 めったにないことだけれど、読み終わってすぐもう一度、最初から読み返した。
二度読むことがおすすめ、と訳者のあとがきにあったし、読ませてしまう本だったのだと思う。
昨年、『愛を読むひと』というタイトルで、劇場公開されたのでご存知の方も多いでしょうか。
キャストはお気に入りのケイト・ウィンスレット。当時からとても気になっていた映画のほうも、観たくなっちゃった。

舞台は1958年のドイツ。
瑞々しく青いミヒャエルの初恋は、不器用でひた向き。回想形式で語られる物語から、現在にいたるまで、ずっと気を逸らせないが、ハンナが隠していた秘密や過去が明らかになる後半から、小説の表情も変わってくる。
秘密の方は、置手紙のあたりでピンとくるけれど、ドイツの歴史から切り離すことのできない重い過去には、次世代が向き合わなければならない、大きな問題が秘められているので奥深い。

先日、田口ランディさんの『旅人の心得』を読んだとき、戦争を知らない世代がどうやって過去を伝えていくかこれからはとてもむつかしい、というような内容のコラムを目にした。
広島、長崎を知らない世代は、どうやって戦争を語り継げばいいのだろう。
いつか、ヘルガ・シュナイダーの『黙って行かせて』でも感じたように、ドイツは日本よりよほど、自国の風化させてはいけない歴史に上手に向き合っているのかもしれない。


二度目読むと、見えなかった真実に出会えるのでウレシイ。
ハンナの悲しみも、ミヒャエルの狡さも、何気ない言葉にも。
冷淡と思っていたハンナの態度には、ちゃんとしたワケがあり、ミヒャエルのとった行動はやはり卑怯であったし、、。秘密を知ってから読めば、前半の瑞々しい思い出が、さらに胸に響いてくる。
日本人にはとても身近ではないけれど、文盲(ネタバレ反転)であることが広げる波紋に、驚かされてしまった。


 15歳の少年ミヒャエルは、21歳年上のハンナと初めての切ない恋に落ちるが、ハンナは忌まわしい過去を隠したまま、突然彼の前から姿を消してしまう―――。





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Last updated  2010.03.25 21:08:15
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