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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:日本映画
『天然コケッコー』が超ほのぼのだったので、同じ中学生なのに、両者のギャップに驚いてしまう。 画面の力に、冒頭から釘づけでした。 手越くんをはじめ、ヒロインの韓英恵ちゃんも、豊川悦司の抑えた演技も、なにもかも引き込まれる魅力を持っていました。 舞台がなにしろ不思議で、「浜」と「沖」はむかしの被差別部落みたいだし、作品に流れている重みは、最近にはない懐かしさでした。 気がつけば、すでに手遅れで、もうどんなにしても取り返せないほど、関係の悪化していく人間たちが悲しくて、辛くて、痛かった。 みんなして傷ついて、不器用に繋ぎとめながら、どうにか生きている姿に、泣けてきました。 子どもにとっては、あまりにも過酷な運命を抱えたシュウジとエリ。ふたりは聖書を開いて、神父さまの言葉を励みに、運命に必死に立ち向かおうとしている―――ただその姿を見るだけでさえ、苦しく切ないのでした。 特別弱い両親に育てられた女の子は、孤独と義父からの暴行にずっと耐えてきました。幸せに見えていたシュウジの家族は、優秀だった兄が壊れ始めたことで、簡単に崩壊してしまいました。 大人に守られることのない子どもらが行きつく先は、大都会東京の夜のブラックホール。 すでに軌道を逸した純真な魂は、悪い大人を傷つけながら、運命を変えることの叶わぬまま、短い生を終わらせてしまいます・・・・・。 それぞれに抱えた闇は大きい。神父様でさえ、弟を殺人者にしてしまった罪を抱えて、罰と向き合い苦しんでいます。 長大な原作にはきっと、更に重苦しいエピソードが連なっているのでしょう。 近年では稀に見る、奥深な青春映画。骨太で、とにかく懐かしい匂いのする。 手越くんの表情、豊川悦司のナレーションに胸を打たれて、久しぶりの感覚を味わいましたよ。 ずっと気になっていたSABU監督の作品。見て良かったです。 監督・脚本/ SABU プロデューサー/ 三木裕明 原作/重松清 『疾走』 音楽/ S.E.N.S. 出演/ 手越祐也 韓英恵 中谷美紀 豊川悦司 (カラー/125分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.05.24 17:02:04
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