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テーマ:読書(8605)
カテゴリ:本
お正月、みなさんは箱根駅伝を見る派ですか。 わたしは見ない派、ちゃんと見たことは、一度もありません。 駅伝のなにが楽しいのか、この本を読むまではすこしもわからなかった。 しをんさんが小説の題材にとりあげたんだから楽しいかも・・・・そんなふうに気になってはいたけれど。 しかし、2011年のお正月、わたしはきっと箱根駅伝を見る! 楽しみどころをやっと理解したよ。走る行為の美しさに、あらためて驚かされた。 まったく無縁と思っていた駅伝だけれど、読みながら、忘れていた記憶がふと蘇る。 小学生の頃、地元の駅伝大会で、地域代表の子どもランナーとして走ったことがあったのだ。 先導車に声をかけてもらいつつ、前にも後ろにも見えない他のランナーに戸惑いつつ、走った。順位も、自分の走るスピードの実感も、ないままで走る・・・。あの日わたしは、駅伝の楽しさどころか、孤独な競技に、子どもながらびっくりしていたと思う。 身をもって体験した「好きじゃない」駅伝の記憶は、そのまま奥深くにしまわれて、いまごろ再会するとは。 駅伝って、おもしろいものだったんだー! すごい競技だったんだねー。 走る行為が美しいとは、わかっていたけれど、蔵原走やハイジが目指す孤高の走りは、強くなることだった。 いまのわたしは走らない。でも、心を強くするのは、同じように目指しているもの。 走らない人にとっても、誰にとっても、きっとグッとくる内容だ。 三浦しをんのエッセーには、いつも笑わされて、通勤途中すごく困るのだが、今回は涙が出て困った。 後半は、なんども何度も、じわじわと泣けてきてしようがなかった。 なぜか箱根駅伝で走ることになってしまった竹青荘の住人たち、十人にはそれぞれの思いがある。 同じ目標を持った面々が、信頼しあい、苦しくても諦めずに襷を繋いでいく。だれかのためになることが、自分のためになっていく。 彼らの出会いは眩しいくらいに煌めいていて、胸が苦しくなった。 十人の一年間の努力が、こころに切ない感動の嵐を巻き起こす。 この物語は、昨年映画になっていて、脚本家の大森寿美男氏が自ら初メガフォンをとっている。 ハイジ役に小出恵介、走役に林遣都、外国人のムサ役には、ソフトバンクのCMでお馴染のダンテ・カーヴァー。 いつか見たいな、こちらも。 (あらすじ)寛政大学4年の清瀬ハイジは、類まれな「走り」で夜道を駆け抜けていく蔵原走に出くわし、下宿の竹青荘に、半ば強引に住まわせる。清瀬には、箱根駅伝に出て頂点を目指すという夢があったのだ。 この日から、清瀬の一存で、半強制的に「箱根」を目指すことになった竹青荘の住人たち十人。故障や過去や屈折を抱え、身体能力と精神力の限界を越えて、あの山の頂きに辿りつけるのか――。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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