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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:日本映画
在日コリアンのタクシー運転手・忠男と、パブで働くフィリピーナ・コニーの恋物語を軸に、在日外国人たちの逞しくて熱い日常を、ユーモラスに描く―――。 偏見に負けじと成り上がろうとする者、忠男のようにアナーキーに生きる者。 東京で暮らす在日外国人たちの生き様は、じつにギラギラと輝いていてエネルギッシュ。 当時の世相がそうであったとして、この熱さは近頃では得がたいすごさだ。 女にも喧嘩にも手が早い彼らが、なぜに受け身のタクシー運転手なのか・・・そこには滑稽という言葉だけでは語れない、ペーソスあふれる日々が詰っている。 お調子者を演じた若き岸谷吾朗のどぎつさは、かなり魅力的だった。 これぞ昭和の俳優というか、、懐かしい感じ。舞台で培われた演技力はさすがだ。 他にも、今は亡き古尾谷雅人、城春樹、萩原聖人、國村隼、麿赤兒・・・といった錚々たる面々が脇を固める贅沢さ。 マドンナ役のルビー・モレノも忘れてはいけない。当時20代だった彼女はトロのように脂ののった時期で、(濡れ場もあるが)かわいらしい姿が印象的だった。 2005年『恋するトマト』で、端役とはいえ久しぶりに彼女を観たとき、なんだかとても懐かしかった。 タイトル『月はどっちに出ている』は、本編中の台詞が由来となっている。 新米の運転手が街を流すうち迷子になると、電話を掛けてきて聞く。 「いま、わたしは、どこにいるのでしょう?」 すると、交換手は 「月はどっちにでていますか?月に向かって帰ってきてください」と答えるのだ。そのシーケンス。 ちなみに、本編は元々、WOWOWで放送された崔監督のテレビ映画で、それを自身が劇場用に撮り直したのだそうだ。 監督/ 崔洋一 原作/ 梁石日「タクシー狂躁曲」 脚本/ 崔洋一 鄭義信 出演/ 岸谷五朗 ルビー・モレノ 絵沢萠子 小木茂光 (カラー/95分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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