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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:日本映画
劇場予告で気になってはいたものの、4時間という長尺に躊躇して、結局DVDを待ってしまった異色な恋愛映画。若者たちの息つく暇もない愛と信仰と懺悔の日々を、おそるべきパワーで描く青春ラブストーリー。 実話をベースにしてるとは、にわかに信じがたい! こんなにも熱い血潮の流れた邦画との出会いに、若い監督と俳優たちの熱に、目眩を覚えながらうれしくなってくる。 危なすぎる疾走を続ける4時間、まったく飽きることがなかった。 敬虔なクリスチャン一家に育ったユウ(西島)。美しい母を幼いころに亡くしてからは、優しい神父の父(渡部)とふたりきりで暮らしてきた。 しかし、ある出来事を境に、父はユウに懺悔を強要するようになる。心優しいユウは父の期待に答えるべく懺悔のために毎日「罪作り」に励むようになる。 いつしかユウの罪作りはエスカレートし、気づけは天才的な盗 撮のカリスマとなっていた。 そんなある日、運命の女、ヨーコに出会ってユウは初めて恋に落ちる。しかし二人の背後には、謎の新興宗教団体の魔の手が迫っていた・・・・!迷える登場人物たちに、衝撃的なクライマックスが待ている―――。 強烈な幼少期を過ごした普通じゃないヨーコは、暴力的でエキセントリックな娘に成長するが、聖書のなかに救いを求めたゆえ信仰心だけは篤い。ユウもまた、“聖母マリア”のような女性を探しているだけの敬虔なクリスチャンだった。ふたりは純粋ゆえに、どこまでも道を逸してしまうのだ。 その信仰心を利用するのが、かねてからユウに目を付けていた新興宗教団体のコイケ(安藤)。彼女は、“ゼロ教団”にユウの家族やヨーコを引きずり込み、ユウを孤立させ、ヨーコへの純愛を引き裂く手段にでる・・・・・。 R-15指定の、「変態」って台詞が飛び交う際物ムービーなのかもしれないが、しかし、聖なるものと俗っぽさは表裏一体。ひとつのなかに両者が共存する作品が、わたしは好きだ。褒めすぎかもしれないけれど、ホドロフスキーの『サンタ・サングレ』を思い出していた。 精神は脆く、信仰を破るのは難い。けどそれらを凌駕するものがあるとすればそれは愛だ。若いころの強靭な想い。一途に相手を求めるはじめての純愛。若者たちにこそ、ぜひ観てほしい、そんな映画だった。アブナさを通り越したあとで、清々さと爽やかに満たされる。 主演を演じている、西島隆弘、満島ひかり、安藤サクラの演技は最高にはじけていてスバラシイ!邦画もまだまだ捨てたもんじゃないなぁとしみじみ思う。そしてその演技を引き出したのは、紛れもなく園子温(その・しおん)監督。すごいひとだ。 監督・原案・脚本/ 園子温 音楽/ 原田智英 主題歌/ ゆらゆら帝国 出演/ 西島隆弘 満島ひかり 安藤サクラ 渡部篤郎 渡辺真起子 (カラー/237分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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