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行きかふ人も又

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2011.01.01
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テーマ:読書(8607)
カテゴリ:

 明けましておめでとうございます。
2011年、書き初めは、お世話になっているヤスカイさんおすすめのガルシア=マルケスです。
1955年、友人たちの手によって、無断で印刷所に持ち込まれたという処女作『落葉』。
わたしにはけっこう難解でした。


舞台は架空の街マコンド。とある医師の葬儀が、大佐家族によって執り行われようとしている。
家族の父、娘、孫、が交互に繰り返す独白は、三世代それぞれの視点から見た、男の生前の真実。医師の謎や軌跡が次第に明らかにされていく――。


死人についての説明がまったくなく、三人の独白だけが事実を知る頼り。
父娘はともかく、母親に連れて来られただけの孫(少年)が語れるのは、目に見えている状況だけで、真実はしばらく見えないまま。
ずいぶん過去に、マコンドにやって来た医師を、自宅の離れに住まわせた大佐(父)だけが、彼の半生を知っている。

閉塞的な街マコンドは、バナナ会社があった一時は興隆したけれど、それもすでに去り、いまは衰退の一途・・・重く暗い雰囲気。
人々に疎んじられ、その死を歓迎された不義の医師の過去を知るにつけ、孤独の色濃く、胸がどんよりとしてくるのでした。
形式的な難解さばかりではなく、なにかしらメタファーを秘めたような、それぞれの独白に迷い込んでしまい、釈然としないままの読了。
つぎは『百年の孤独』『コレラの時代の愛』など有名どころが読んでみたい。


短編集といえ、206ページの本に表題作『落葉』が130ページを占めています。
残りは、『世界で最も美しい男の溺死体』『大きな翼を持った老人』他、4編を収録。それぞれが10ページほどの小品。『大きな翼を持った老人』は、同名映画の原作。
ご子息が映画監督だという点でも、映画界と造詣の深い方なのかもしれません。今春、劇場公開となる『愛する人』は、子息ロドリゴ・ガルシア監督の最新作。







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Last updated  2011.08.27 21:40:48
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