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テーマ:お勧めの一冊(464)
カテゴリ:本
とある伝手で、すこしだけお知り合いになった臨床心理士さんがおすすめしてくれた本。 この本をひと文で表すなら、 異色の心理学者による異色の著作の異色の日本語訳―― ということになるのだそうだ。(解説より) ジェイムズ・ヒルマン氏はユング派の心理学者。 フロイトだけでなくユングの夢の扱い方にさえ物申すかたちで、まったく独自の夢との繋がり方を語っている。 しかも、實川幹朗氏による日本語訳には、徹底したやまとことばが使われているので、ほんとに異色の趣。 わたしが労せず読めたのは、<六の巻・実地> くらい。200ページすすんで、やっと。 「読み手に役立つ口添え」として、著者にとっては不本意気味に、夢の読みとり方をレクチャーしてくれる。 これまでずっと夜について語り、魂をよみの国に降ろすことを目的としていた文章が、ここだけ昼の国(わたしたちの現実)に橋を懸けてくれる。 ありがちな夢判断とは趣を異にした、これまでの概念を覆す導きの書。 もうずっと、河合隼雄さんありきユングありき、と思ってきたわたしのような素人には、目から鱗ものの驚きの一冊だった。 この本の存在を知ることができただけでも、うれしいくらい。 「立派な学問の翻訳文体」が当たり前になっているからこそ、日本人に馴染みの深い“やまとことば”で原著の味わいを出そう――と試みた本なのだけれど、訳者の思惑をよそに、かえって慣れなくて、難解さをましていた気がするのは気のせい…ではないはず。はんぶんも理解できていないだろうけれど、味わいはあった。 ところで、読んでいるあいだじゅう、おもしろい夢をいっぱい見たよ。いつもより濃い夢。とても意味深長な夢。不思議で不思議で仕方がなかった。 こんな作用があるだけでも稀有だと思う。 ― 夢の内なる形崩しの、形変えの業がよみの主(ハーデース)の館を築き、人びと各々の死を築く。夢は皆この館に育つ。夢は皆、よみの国へと渡る下ざらいであり、死への心の備えである― お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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