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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:日本映画
伊坂幸太郎の原作は、ものすごい勢いで映画化されて、これまで8作品にのぼる。 監督は『アヒルと鴨のコインロッカー』『フィッシュストーリー』を手掛けた中村義洋。 原作同士がリンクしているように、映画でも、役者の顔ぶれが一緒だったりするのでおもしろい。 仙台に暮らすごく平凡な独身男、青柳雅春(堺)。 首相が凱旋パレードを行うその日、大学時代の友人・森田(吉岡)に呼び出された彼は、謎の警告を受ける。その直後、会場は 何者かに爆破され、なぜか首相暗殺の犯人として青柳は追われる身となるのだった――。 伏線に次ぐ伏線がラストに向かってきちんと収束していくタイプの作品は、楽しくないわけがない。 これでもかというほど、仕掛けられたエピソードの数々を、豪華出演者たちが好演している。 可笑しくも切なく、爽やかに小気味よく纏められていて、長いがとてもおもしろかった。 宅配会社で働く青柳には、2年前、仕事ちゅうに、偶然アイドルが襲われている現場を発見、助けてヒーローになった過去がある。しかし、追われる身となった今、一躍有名となった過去が災いして、首相暗殺犯の嫌疑は勢いを増していくばかり、、。 友人を頼って逃げ回る青柳は、果たして巨大な陰謀の罠から逃れ、逃げ切ることができるのか―!? キーとなる学生時代の同級生、森田、晴子(竹内)、一夫(劇団ひとり)の面々がすごくいいのだ。 かつて付き合っていた晴子との甘酸っぱい恋と別れ、4人つるんでいた頃の過去の出来事や繋がり。それらが、ピンチになった今、青柳にも信じられないほどの精度で彼の身を守る。 孤立無援に思えて、じつは色んなところで助けられている。誰かが自分を信じてくれるから、逃げ切れた――そういうものなのかもしれない。 人との繋がりが、非常事態にどれだけ役に立つかを、身に沁みて感じる感動作。家族の言葉と、思い出の黄色いカローラに泣いたシーンが、とても良かった。 めちゃくちゃ人のいい青柳が、だんだんカッコ良く見えてくるのが、長尺であることを忘れさせてくれる。 脇役がいいことも魅力。登場してすぐに死んでしまうが吉岡秀隆くんや、柄本明さんはキーパーソン。上記2作品にも出演している、キルオ役の濱田岳は、かなりの存在感で見逃せない。 ゴルゴ13ばりの永島敏行に笑い、もはや野々村係長にしか見えない竜雷太がステキだ。 悪役には香川照之。定石どおりの顔が、相変わらず濃い演技で熱演している。 監督/ 中村義洋 原作/ 伊坂幸太郎 脚本/ 中村義洋 林民夫 鈴木謙一 出演/ 堺雅人 竹内結子 吉岡秀隆 劇団ひとり 柄本明 香川照之 (カラー/139min) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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